1987 Fiscal Year Annual Research Report
マウス胚唾液腺上皮の枝分れ構造形成と上皮-間葉間における力のバランスとの相関性
Project/Area Number |
62540544
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中西 康夫 名古屋大学, 理学部, 助教授 (40022636)
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Keywords | 唾液腺 / 形態形成 / クレフト形成 / 上皮-問充織相互作用 / コラーゲン / コラゲナーゼ / X線照射 / プロテオヘパラン硫酸 |
Research Abstract |
本研究の主要テーマは, マウス胎仔発生時における唾液腺上皮のクレフト形成, いわゆる分枝形成に必須な細胞外物質の同定と, 上皮-間葉間に働くと考えられる力のバランスが分枝形成とどのような関係にあるかを明らかにすることであった. これらに関して今年度中に得られた結果について以下に報告する. 1.X線照射, 種々のDNA合成阻害剤等によって上皮の増殖力を減少させると, クレフト形成が促進されることは再確認された. しかし, 上皮の間充織への拡張力を支配すると思われる増殖力を飛躍的に増大させる因子の抽出にはいまだ成功していない. 現在様々な方法を検討中である. 2.クレフト形成に必須であるコラーゲンは, ウシ歯髄から精製したコラゲナーゼに感受性であり, 基底膜型コラーゲンではないことが判明した. このコラゲナーゼの基質特異性を検討した結果, 唾液腺に存在するとされるコラーゲンのうち, IとIII型のみを加水分解することが明らかになった. Kratochwilらの, I型コラーゲン欠損マウス胎仔の唾液腺を培養すれば正常なクレフト形成が起るとのデータを考慮に入れると, 必須なコラーゲンタイプはIII型であると推測した. 3.これを実証するために, 種々のコラーゲンタイプに対応する抗体を用いて, 免疫組織化学的にコラーゲンの局在性を検討した. その結果, III型のみが, 上皮にクレフトが生じ始めた部位の間充織側に強く染色され, I:IV, V型はクレフト形成との関係を示唆するような局在性は示さなかった. このIII型の染色はほぼ100%の確率で検出され, III型コラーゲンがクレフト形成の主役を演じていることが明確となった. 4.単一蛋白まで精製したヘパリチナーゼ処理でクレフト形成は完全に阻害された. これもまた重要課題である.
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[Publications] Yasuo Nakanishi: DEVELOPMENT. 99. 429-437 (1987)
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[Publications] Hiroyuki Nogawa: DEVELOPMENT. 101. 491-500 (1987)
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[Publications] Yuh Fukuda: DEVELOPMENT. (1988)
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[Publications] Yasuo Nakanishi: DEVELOPMENT.