1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540547
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
酒井 正樹 岡山大学, 理学部, 助教授 (30027502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 恒夫 岡山大学, 理学部, 教授 (60000816)
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Keywords | コオロギ / 交尾行動 / 行動の切り替え / 動機づけ / 鍵刺激 / 反応連鎖 / ニューロン |
Research Abstract |
これまで、雄コオロギの交尾行動が精包の放出を契機として、求愛から回避へと切り変るメカニズムを解明すべく、行動学的、生理学的実験を行ってきた。実験は断頭標本を用い、オスの頚部と生殖器への電子刺激により交尾反応性を制御するという方法をとった。本年度は研究をまとめるにあたり、交尾反応性を低下させる生殖器電気刺激の意味を再検した。問題は電気刺激は強く与えると交尾反応を不可逆的に低下させえたが、これは果して自然な精包放出時のそれを模倣しているのか、あるいは侵害刺激として作用しているのかということである。自然な状態においても雄は長時間の求愛に失敗すると、雌との交尾を経ることなく精包を放出し、交尾期を終結させることがあるからである。そこで、電気刺激よりも自然に近い機械刺激を雄の交接器に与えることによって、自然と同じ交尾期終了をおこしうるかどうかを試みた。その結果、生殖器以外であればいかに強いシヨクを与えてもその効果はないが、生殖器とその周辺への機械刺激により精包を放出させ、非交尾期へ移行させることができた。方法はまず雄に長時間(15〜30分)求愛させて興奮性を上げ、そこで背部への圧刺激を加え、伸展性緊張を作り出した。この条件下で交接器の腹側部感覚毛に圧迫を加えた。これにより、12%の雄を自然とほぼ同じ状態で交尾の終了に導くことが出来た。他の20%は自然に近いものではなかったが刺激後非交尾期へと移行した。このことより、雄を自然に近い形での交尾終了に至らしめるには1)適切な興奮、2)体の伸展性緊張、そして3)鍵刺激の3者が必要であると結論される。これらは交尾そのものの進行にも不可欠の要素であった。従来人為刺激による実験はすべて雌で行われてきた。これは交尾に際して、雌は終始受動的であり、交尾期の終了には鍵刺激のみで十分であったのに対し、雄では能動的であることから、雌のようには単純でなかったことによると思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sakai,M.;Ootsubo,T.: J Comp Physiol. 162. 589-600 (1988)
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[Publications] Sakai,M.,et al.: Symposia Biologica Hungarica. 36. 719-722 (1988)
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[Publications] Ohta,C.;Sakai,M.: Dobutsu seiri. 5-3. 107 (1988)