1988 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫における湿度情報処理に関する生理学的・形態学的研究
Project/Area Number |
62540561
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
横張 文男 福岡大学, 理学部, 助教授 (20117287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 綱男 福岡大学, 理学部, 助手 (40131809)
冨永 佳也 福岡大学, 理学部, 教授 (70078591)
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Keywords | 昆虫 / ワモンゴキブリ / ミツバチ / 湿度受容器 / 中大脳 / 電気生理学 / 形態学 / 介在神経細胞 |
Research Abstract |
本研究は、昆虫において、触角にある湿度受容器で検出された外界の湿度情報が脳内のどこで、どのように処理されて、湿度定位をするかを明らかにすることを目的としていた。実験には系統分類学上遠い位置にあるワモンゴキブリとミツバチを用いた。中大脳にガラス微小電極を刺入して湿度刺激に対する介在神経細胞の電気的活動を調べた。 ワモンゴキブリでは、湿度受容器の軸索は嗅受容器の軸索と同様に中大脳に入るが、介在神経細胞の応答は、中大脳中央背側部の狭い部域からしか記録できなかった。これは、湿度情報処理に関与する介在神経細胞の局在を示唆している。刺激応答の関係にもとづいて、介在神経細胞は3種類に分けられた。1.湿度が高いほどインパルス応答が大きくなるもの。2.湿度が低いほどインパルス応答が大きくなるもの。3.中程度の湿度にインパルス応答が最大になり、低湿度でも高湿度でも応答が減少するもの。この分類と記録部位との間には、一定の関係があり、中大脳中央背側部の背側寄りでは1のタイプ、腹側寄りでは2のタイプ、その境界付近では3のタイプの細胞から記録される傾向があった。応答の時間経過については、相的なもの、持続的なもの、相的・持続的なものや、刺激開始直後にIPSPが現われて後に興奮的応答が現われるもの等があった。ミツバチでは、ワモンゴキブリの場合とよく似た傾向が示されたが、若干の差も見られた。刺激応答関係に従って分類すると、ワモンゴキブリでみられた1と2のタイプだけで3のタイプはみつからなかった。応答の時間経過については、ワモンゴキブリの場合と同様にさまざまなものがあった。いくつかの介在神経細胞は細胞内染色に成功した。ローカルな介在神経細胞と出力性の介在神経細胞があり、前者は中大脳の背側と腹側に分枝を広げており、軸索はなかった。後者は糸球体1個に相等する部域にのみ分枝を広げ、軸索があった。
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[Publications] Toh,Y.;Yokohari,F.: J.Comp.Neurol.269. 157-167 (1988)
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[Publications] Fujimura,K.;Yokohari,F.;Tateda,H.: J.Insect Physiol.(1989)
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[Publications] Nishikawa,M.;Yokohari,F.;Ishibashi,T.: J.Comp.Physiol.(1989)
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[Publications] Yokohari,F.: Cell and Tissue Res.(1989)
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[Publications] Yokohari,F.: J.Comp.Physiol.(1989)
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[Publications] Tominaga,Y.;Tanimura,T.: Cell and Tissue Res.(1989)
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[Publications] 横張文男: "匂いの科学 分担:昆虫の嗅細胞の生理" 朝倉書店, 300 (1989)
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[Publications] 冨永佳也: "匂いの科学 分担:昆虫の嗅覚器の構造" 朝倉書店, 300 (1989)