1987 Fiscal Year Annual Research Report
免疫組織化学によるラット肝シトクロームP-450アイソザイムの加齢変化の研究
Project/Area Number |
62540569
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
町田 武生 広島大学, 理学部, 助教授 (70073020)
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Keywords | ラット / 加齢 / 老化 / 肝 / シトクロームP-450 / フェノバルビタール / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
BN/BiRy系雄ラットにおいて, フェノバルビタール(PB)投与により肝に誘導されるシトクロームP-450_<PB>(P450PB)を, 抗ウサギP450PB血清を用いて免疫組織化学的に定量する方法を検討した. 簡便な装置により, 肝葉内のP45PBを組織切片上で定量できることとなったが, なお, 再現性に安定を欠くきらいがある. しかし, これにより, 肝葉内のP450PBが, 肝小葉の肝静脈周辺細胞に偏在し, 肝門脈周辺細胞には少ないことが判った. また, 4つの肝葉間にP450PBの分布の差が存在し, 尾状葉では門脈周辺域にこの酵素がほとんど出現しないのに対し, 正中葉や左葉では酵素活性がみられた. 免疫組織化学的に得られたP450PB分布のこのような部域差, 肝葉間が組織固定の際などの技術的問題による人工産物ではないことは, 固定液, 固定方法等を変えて検討の結果, 確認された. 次に, オランダ国立実験老年学研究所老化動物コロニーより供与されたる, 18及び30月齢のBN/BiRiy系SPF雄マウスを用いて, PB投与により誘導される肝P450PB含量の加齢化を上記の方法により測定した. 肝P450PB含量は加齢と共に低下すること, 特に肝小葉の肝静脈周辺域のP450PB含量の低下が著明であること, 肝静脈周辺域と肝門脈周辺域とのP450PB分布の差は, 尾状葉では老化としても有意に保たれるが, 他の肝葉では失われること, が明らとなった. P450PBの肝小葉内の分布の部域差, ならびに肝葉間での分布の差について, 肝細胞内微小器官の存在様態との関連から検討する. また, 他の薬物により誘導されるP450Oアイソザイムについては, 抗体の入手に努力中である.
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[Publications] Machida, T.: Zoological Science. 4. 1083 (1987)
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[Publications] Machida, T.: Experimental Gerontology.