1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540576
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
矢島 敏彦 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80008713)
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Keywords | 関東平野基盤等深線図 / 関東平野基盤地質構造図 / 基盤断層 / 数値処理地上ステレオ写真解析法 / 等高線図作法 / 簡易リモートセンシング / 地殻変動 |
Research Abstract |
今回の研究では主として関東平野北部の基盤構造を推定する資料が得られ、これをもとに全体的考察を試みた。本年度は荒川流域の重要地点についてステレオ写真解析とコンピューター処理による数値処理方式の等高線図作製法を完成することができた。とくに水平方向ステレオ写真を用いた精密地形図の作製は基盤の構造や運動を調査するうえで大変有効なものであることがわかった。これは一種の簡易型リモートセンシングでもあって、省エネにも役立つ。この方向による200分の1地形図をもとに荒川沿いの1000分の1地質図をつくった。この資料より基盤断層の分布・時代関係、層序についていくつかの新しい事実が判明した。 関東山地付近の高角断層系はおよそ6系統に分類整理されるが(矢島他1985)、これらのそれぞれの系統の中でも時代と場所によって系統的に方位が変化してゆくことがわかった。関東平野の基盤地質構造は基本的には相模トラフの配置に対応していると考えられるが、海底下の構造は不明の点が多い。一方、陸上で観察される地質構造は西から東に向かって少しずつ変化している。矢島(1981)、矢島他(1986)は関東平野基盤等深線図を発表しているが、今回はさらに最近の報告者の調査研究の結果をまじえ、当概地域の基盤地質構造の詳細な推論を試みている。また、推論の根拠となる資料(岩石、断層、地下等深線)と推論の方法を明らかにしようとした。結論として、南関東ないし沿岸部海洋底付近の地殻構造形態と内陸部の関東北部の基盤構造形態とは密接な対応関係をしめしていることが推定された。このことから、北関東地域の基盤地質の研究は南関東地域の地殻変動の研究に一定の重要な役割を果たし得ることがわかる。深部ボーリング、人工爆破による地殻構造推定とならんで、周辺山地部の重点的精密調査の意義は大きい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 矢島敏彦: 日本地質学会第96回学術大会(水戸)講演要旨. (1989)
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[Publications] 矢島敏彦: 埼玉大学教育学部地球科学観測実験室報告. (1989)
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[Publications] 矢島敏彦: 日本地質学会会誌「地質学雑誌」. (1989)
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[Publications] 矢島敏彦: 日本火山学会会誌「火山」. (1989)
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[Publications] 矢島敏彦: 日本地質学会会誌「地質学雑誌」. (1990)