1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540578
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高浜 信行 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 助教授 (20018948)
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Keywords | 中期更新世 / 土石流 / ブロック隆起 |
Research Abstract |
本研究は, 新潟県五頭山地を典型事例, 新潟県櫛形山地と兵庫県六甲山地を比較事例として, 中期更新世以後に急激になった断続的な山地のブロック隆起と間欠的な土石流の発生の関連を追及することにある. 1.五頭山地では, 中期更新世以後に断層活動をともなう3回の活発なブロック隆起が, 3回の大規模な土石流の発生と対応していることが明らかになった. さらに, 五頭山地西方の新潟平野の地下では, 中・上部更新統に数層準の厚い砂礫層がはさまれる. この砂礫の供給も, 平野周辺山地の断続的な隆起と関連した可能性があり, この点を検討する必要が生じてきた. 2.櫛形山地では, 中期更新世に大量の土石流が発生した. この時代の山地の起伏量は, 現在の約1/2であることがわかった. その後, 後期更新世の初頭にも大量の土石流の発生が確認された. これらは, 櫛形山地の隆起と土石流発生の経過を解明するための貴重な資料である. 3.六甲山地では, 藤田和夫らによって, 中期更新世以降のブロック隆起の経過が明らかにされている. 今回, 六甲山地周辺の中・上部更新統に大量の土石流堆積物が含まれていることを確認した. その結果,五頭・櫛形山地と同様に, 中期更新世に大量の土石流が発生したこと, さらに, 2〜3回の土石流大量発生期を識別できる見通しがついた. 4.上記の3つの山地では, いずれも中期更新世から現在までの断続的なブロック隆起が土石流の間欠的な大量発生と対応するという共通性が認められそうである. これは, 山地のネオテクトニクスの解明と同時に, 土石流災害の地質学的解明にも貴重な資料を提供するものと考える.
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Research Products
(2 results)