1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540591
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Research Institution | National Science Museum, |
Principal Investigator |
斎藤 靖二 国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (00000133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 聰 国立科学博物館, 地学研究部, 主任研究官 (40000137)
加藤 昭 国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (70000114)
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Keywords | チャート / 続成過程 / 放散虫 / 珪質海綿骨針 |
Research Abstract |
チャートの続成過程を明らかにするために、鉱物学的変化を追試しつつオートクレーブを用いた熱水処理実験を行った。出発物質は、珪藻、放散虫、珪質海綿骨針である。実験条件は250kg/cm^2から300kg/cm^2の圧力下、100℃から300℃の温度範囲で、反応時間は40〜150時間である。溶媒には主に水を用いたが、アルカリをふくむものも用いた。反応時間を変えつつ組織形態を観察すると、珪質生物遺骸の溶解にはじまり、続いて間隙にシリカが沈澱する。このことは、続成過程では珪質堆積物中で溶解と沈澱の両反応が同時進行し、化学的に不均質な場が無数に存在することを示す。鉱物学的には、非晶質シリカ・オパールAからなる珪質生物遺骸はオパールCTに変わり、ついには石英の集合体となって、その形態は消失する。しかしながら、この過程で二次的シリカでおおわれた珪質生物遺骸は保存される。一方、野外調査において、異地性地塊またはブロックとして付加体の中に存在するチャートには、破砕面にそって薄く泥質岩が挟在しているのが確認された。それは、ある応力場でかつ高い間隙水圧下でおこった泥質物のインジェクションをあらわす。また、破砕されたチャートの角礫どうしの境界には、圧力溶解作用によるマイクロスタイロライトが発達しており、チャートは、続成過程後に、地下深部で破砕変形作用を受けている。こうした事実は、プレート収束境界の沈み込み帯における付加プロセスを反映している。つまり、造山帯に特徴的なチャートは、通常の堆積埋没後の続成過程に加えて、沈み込みにともなっておこる破砕や泥質物のインジェクション、さらに後の地表への上昇とそれにともなうストレスの解放による破壊を、二重三重に記録している。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 斉藤靖二: 月刊地球. 10. 221-225 (1987)
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[Publications] 斉藤靖二: 燃料協会誌. 67. 280-292 (1988)
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[Publications] Saito.Y.: Bull.Natn.Sci.Mus.,Tokyo,Ser.C. 14. 59-70 (1988)
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[Publications] Niituma, N.: Jour.Phys.Earth. 36. 133-142 (1988)
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[Publications] Matsubara,S.: Jour.Mineral.Petr.Econ.Geol.83. 141-149 (1988)
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[Publications] Ниицума,Н.: Geodynamic Researches (Academy of Science of the USSR). No.11. 74-80 (1988)
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[Publications] 水谷伸治郎: "日本の堆積岩" 岩波書店, 1-226 (1987)
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[Publications] 杉村新: "図説地球科学" 岩波書店, 1-266 (1988)