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1987 Fiscal Year Annual Research Report

氷期の古植生復元におけるコケスギランの示相化石としての役割に関する研究

Research Project

Project/Area Number 62540607
Research InstitutionOsaka Museum of Natural History

Principal Investigator

那須 孝悌  大阪市立自然史博物館, 学芸課, 主任学芸員 (30110042)

Keywordsコケスギラン / 胞子化石 / 示相化石 / 生態 / 古環境
Research Abstract

現生コケスギランの分布南限である群馬県至佛山と谷川岳で生育状況を調査し, さらに尾瀬ケ原等の湿原内部には生育していない事を確認した. また長野県の八方尾根と白馬連峰で生育状況を調査した. 夕張岳での状況とあわせ考えると, ツンドラの指標植物といわれるコケスギランが, 分布城の南限付近にあっては冷温帯北部の気候下でも遺存分布している事, ただし蛇紋岩の風化土壌, または蛇紋岩の割れ目の様な特殊な場所にのみ限られる事が明らかになった. 背の低い草や木が疎らに生える陽当りの良い所で, 土壌水分に恵まれた場所に生育し, 泥炭湿地内や著しく乾燥する花岡崗地帯の尾根筋等には分布していない事が明らかになった.
津軽七里長浜や襟裳岬, 福島市内から得た上部更新統の試料から胞子化石を検出し, さらに北海道大学等に保管されている上部更新統の花粉スライドを検鏡して, コケスギラン胞子化石の産出する地層では森林密度が低く疎林状態の古環境だった事, 特に小胞子と共に大胞子の化石を検出した津軽の出来島層では, 化石多産層準で特異な土地的乾燥状況が推定される事が明らかになった.
今回の研究および信州大学, 福島大学等で実施した文献調べにより, コケスギラン胞子化石の産出または多産は, 亜寒帯から寒帯程度の寒冷気候を指示するものの, ロシア北部低地の様に泥炭形成を伴うツンドラ環境を必ずしも指示するものではない事が明らかになった. むしろ背の高い木や草によって高密度に被覆されることがなく, 陽当りが良くて土壌が激しく移動しない地表条件を示すものと考えられる. しかしHYDEほか(1969)にウェールズ地方の沼に, TAYLOR(1970)にはアラスカのミズゴケ泥炭地にも生育する事が記述されているので, 今後はこれら現地での実態を調べる必要がある.

  • Research Products

    (2 results)

All Other

All Publications (2 results)

  • [Publications] 那須 孝悌: ネイチャー・スタディ. 33. 68-71 (1987)

  • [Publications] 那須 孝悌: 第四紀研究.

URL: 

Published: 1989-03-20   Modified: 2016-04-21  

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