1989 Fiscal Year Annual Research Report

北上山地の白亜紀花崗岩類に伴うはんれい岩類の研究

Research Project

Project/Area Number	62540611
Research Institution	Tohoku University
Principal Investigator	蟹沢聰史東北大学, 教養部・教育 (70005784)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	石川賢一東北大学, 教養部, 助手 (20158744) 永広昌之東北大学, 教養部, 助教授 (10124554)
Keywords	北上山地 / 白亜紀火成活動 / 花崗岩類 / はんれい岩類 / 微量元素 / 島弧火成活動
Research Abstract	1.北上山地の白亜紀花崗岩類はI〜VIb帯に分帯されている。これらの各帯の斑れい岩類はそれぞれ特徴ある岩石学的・化学的特徴を持っていることが明らかになった。また、阿武隈山地など、他地域の斑れい岩類との比較も行なった。 2.造岩鉱物の組み合わせと化学組成から、北上山地の斑れ岩類は2つのグル-プに分類される。;(1)I・II・V帯の岩石にみられるかんらん石-輝石-ホルンブレンド斑れい岩系列。(2)III・IV・VIb帯の黒雲母-かんらん石-輝石斑れい岩系列。(1)の系列はFo_<79-55>のかんらん石とAn成分にとむ斜長石との共存で特徴づけられ、初生ホルンブレンドはパ-ガス閃石質のTiに富むものである。(2)の系列の岩石ではFO_<75-57>のかんらん石と比較的An成分に乏しく秩序度の小さい斜長石との共存で特徴づけられる。また、しばしばかんらん石と黒雲母およびカリ長石との共存がみられる。 3.以上のことから、(1)の系列きものは環太平洋地域にみられる中生代深成岩類に共通の性格であり、早期からかなりH_2Oに富むマグマから晶出したものであろう。一方、(2)の系列の岩石は小岩体に多く、かなり高温で晶出したが、急激にH_2Oに富むようになった。 4.微量成分はLIL元素に富み、HFS元素に乏しく、何れもNbの負け異常が認められ、島弧あるいは活動的大陸縁辺部の火山岩と同じ特徴を示す。斑れい岩類では構成鉱物のモ-ドを反映してかなり不規則なパタ-ンを描く。IVおよびVI帯の斑れい岩類はK、Rb、Baなどに富む。分化の進んだ斑れい岩類は花崗岩類のパタ-ンに類似する。とくに、IV帯の斑れい岩類はほぼ花崗閃緑岩のパタ-ンに重なること、VI帯のものはP、Zr、Tiでやや異なっているがNbの負異常も明瞭であり、花崗岩類のそれとほぼ一致する。IV帯のアルカリに富む斑れい岩は、大部分はショショナイト系列と考えてもよい。微量元素-SiO_2、Y-NbおよびRb-(Y+Nb)プロットで明瞭に典型的な火山弧花崗岩の特徴を示す。 5.造岩鉱物の性質、火山岩の微量元素パタ-ンなどから、基本的にはIII、IV、VI帯の斑れい岩類は白亜紀初期の火山活動の下部構造を表していると考えられる。

Research Products

(9 results)

All Other

All Publications (9 results)

[Publications] 蟹沢聰史: "北上山地の前期白亜紀火成活動能の特徴" 地球科学. 42. 220-236 (1988)
[Publications] 永広昌之: "“早池峰構造帯"研究の現状と課題" 地球科学. 42. 317-335 (1988)
[Publications] Kanisawa,S.: "Trace element characteristics of the Cretaceous plutonic rocks in the Kitakami Mountains,Northeast Japan" DELP Publication(Structural Development of the Japanese Islands:Origin of Continental Crust--Granitic Layer). 28. 34-38 (1989)
[Publications] Kanisawa,S.: "Genesis of the extremely low-K tonalites from the island arc volcanism:Lithic fragments in the Adachi-Medeshima pumice deposits,northeast Japan." Bulletin of Volcanology. 51. 346-354 (1989)
[Publications] 永広昌之: "阿武隈山地中央部大滝根山西方に分布する先第三系滝根層群" 福島県博物館紀要. 3. 21-37 (1989)
[Publications] Kanisawa,S.: "Some zoned plutons and associated gabbros in the Kitakami Mountains,Northeast Japan" The Univ.Museum,The Univ.of Tokyo Bull.(1990)
[Publications] 蟹沢聰史: "活動的縁辺部における白亜紀火成活動の下部構造-微量元素からみた北上山地白亜紀元深成岩類の特徴-" 月刊地球. 13. (1990)
[Publications] 東北地方土木地質図編纂委員会: "東北地方土木地質図解説書" 国土開発技術研究センタ-, 461p. (1988)
[Publications] 生出慶司,中川久雄,蟹沢聰史編: "日本の地質II『東北地方』" 共立出版株式会社, 338p. (1989)

1989 Fiscal Year Annual Research Report

北上山地の白亜紀花崗岩類に伴うはんれい岩類の研究

Principal Investigator

蟹沢 聰史 東北大学, 教養部・教育 (70005784)

Research Products

[Publications] 蟹沢聰史: "北上山地の前期白亜紀火成活動能の特徴" 地球科学. 42. 220-236 (1988)

[Publications] 永広昌之: "“早池峰構造帯"研究の現状と課題" 地球科学. 42. 317-335 (1988)

[Publications] Kanisawa,S.: "Trace element characteristics of the Cretaceous plutonic rocks in the Kitakami Mountains,Northeast Japan" DELP Publication(Structural Development of the Japanese Islands:Origin of Continental Crust--Granitic Layer). 28. 34-38 (1989)

[Publications] Kanisawa,S.: "Genesis of the extremely low-K tonalites from the island arc volcanism:Lithic fragments in the Adachi-Medeshima pumice deposits,northeast Japan." Bulletin of Volcanology. 51. 346-354 (1989)

[Publications] 永広昌之: "阿武隈山地中央部大滝根山西方に分布する先第三系滝根層群" 福島県博物館紀要. 3. 21-37 (1989)

[Publications] Kanisawa,S.: "Some zoned plutons and associated gabbros in the Kitakami Mountains,Northeast Japan" The Univ.Museum,The Univ.of Tokyo Bull.(1990)

[Publications] 蟹沢聰史: "活動的縁辺部における白亜紀火成活動の下部構造-微量元素からみた北上山地白亜紀元深成岩類の特徴-" 月刊地球. 13. (1990)

[Publications] 東北地方土木地質図編纂委員会: "東北地方土木地質図解説書" 国土開発技術研究センタ-, 461p. (1988)

[Publications] 生出慶司,中川久雄,蟹沢聰史編: "日本の地質II『東北地方』" 共立出版株式会社, 338p. (1989)

蟹沢聰史東北大学, 教養部・教育 (70005784)