1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540612
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
林 久人 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (40006698)
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Keywords | 粘土鉱物 / 合成 / 変質 |
Research Abstract |
一般に鉱物の合成は生成の条件や成因などの地球科学的諸問題を解明することを主目的としていたが、最近では新素材としての工業材料を目的とした人口鉱物の合成実験が行われるようになってきた。今回の研究は天然に豊富に存在する珪藻土や籾殻灰の有効利用の一環として、これらの物資を原料として粘土鉱物の合成を試みた。 1.試薬からの3八面体型粘土鉱物の合成 シリカ源として珪藻土や籾殻灰を用いて3八面体型粘土鉱物を水熱合成する前に、合成に最も適した条件を設定するために次の予備実験を行った。(1)Mgスメクタイトの合成、(2)Niスメクタイトの合成 両者とも、出発物質の組成、反応前のpHが反応生成物の大きく影響することがわかった。 2.珪藻土を用いた三八面体型粘土鉱物の合成 (1)スメクタイトの合成:Si:Mg(モル比)=8:8〜6、反応温度200℃で水熱合成を行うと、反応時間12〜18時間でスメクタイトが最も多く生成された。(2)Niスメクタイトの合成:出発物質のSi:Ni(モル比)はヘクトライトの理想式から求めたSi:Ni(モル比)=8:5.33でスメクタイトの生成がよく、また反応前の溶液のpHが13.5のときが最もスメクタイトの生成がよい。珪藻土を長時間摩砕した出発物質の方がスメクタイトの生成がよい。 3.籾殻灰を用いた3八面体型粘土鉱物の合成 籾殻の焼成温度は450℃がスメクタイトの生成に最適である。出発物質の組成比はヘクトライトの理想式のSi:Mg:Li(モル比)であるSi:Mg:Li(モル比)=8:5.34:0.66がスメクタイトの生成に最適である。反応前の溶液のpHは13.2〜13.5がスメクタイトの生成に最適である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 林久人: "秋田県由利原の土壌粘土鉱物について" 秋田大学鉱山学部附属資源地学研究施設報告. NO.53. 33-40 (1988)
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[Publications] 林久人: "珪藻土を用いた粘土鉱物の合成" 秋田大学鉱山学部研究報告. NO.10. 101-107 (1989)
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[Publications] 林久人: "秋田県川原毛・泥渇地域の熱水変質作用について" 鉱物学雑誌. 19. 77-85 (1990)
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[Publications] 岡田清: "分析電子顕微鏡を用いた粘土鉱物の化学組成分析における問題点" 鉱物学雑誌. 19. 143-150 (1990)