1989 Fiscal Year Annual Research Report
高圧珪酸塩鉱物の熱測定による相平衡図の精密化とマントル構造への応用
Project/Area Number |
62540618
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
赤荻 正樹 金沢大学, 理学部, 助教授 (30126560)
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Keywords | 高圧実験 / 熱測定 / マントル / 相転移 / 珪酸塩 / 相平衡 / 精密化 / エンタルピ- |
Research Abstract |
高温高圧実験においては、室温で較正された圧力値と高温(1000〜1500℃)での圧力値が異なることが多い。そのため、高温における圧力較正が正確な相平衡の作成には不可欠となる。平成元年度には、ZnSiO_3、NiSiO_4、SiO_2の高圧相転移に伴う熱量測定実験の若干又は前年度から継続し完成させた。まず、ZnSiO_3は11GPaで輝石型からイルメナイト型へ転移する。この転移に伴うエンタルピ-を測定した。また両相の熱容量も同様に測定した。これらの熱力学デ-タと高温高圧X線回析実験の結果(Akimoto et al 1977)と組合せて、相境界線をP(GPa)=8.9+1.7×10^<-3>T(K)と決定した。次にNi_2SiO_4のスビネル型→光塩型+スティシュバイトの高圧分解反応のエンタルピ-を同様な方法で測定した。このデ-タから計算された相境界線はP(GPa)=17.6-6.3×10^<-4>T(K)である。さらにSiO_2組成の石英、コ-サイト、スティショバイトの熱容量を173〜733Kの温度範囲で測定した。その結果、Watanabe(1982)によって報告されていたデ-タと比べてコ-サイトの熱容量が大きく異なることが見出された。コ-サイトの熱含量の測定からも今回の熱容量デ-タの正確さが支持された。この新しい熱容量デ-タを用いて、コ-サイト-スティショバイト転移の相境界線がP(GPa)=8.5+5×10^<-4>T(K)と計算された。これら3つの相境界線は8〜18GPaでの高温における圧力定点として活用できる。これらはマントル鉱物の相平衡図を精密化する上で有用である。上記の研究の他、焼結ダイヤモンド付ブリジマン・アンピル(本研究費の一部を用いて購入)により、Zn_2SiO_4の変移スビネル→ZnSiO_3イルメナイト+ZnOの分解反応の決定や天然のオリピンの高温単結晶構造解析が行われ、陽イオン分布の温度変化が調べられた
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Akaogi,M.: "The olivine-modified spinel-spinel transitions in the system Mg_2SiO_4-Fe_2SiO_4:calorimetric measurements,thermochemical calculation and geophysical application." J.Geophys.Res.94. 15671-15685 (1989)
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[Publications] McMillan,P.: "Cation disorder in garnets along the Mg_3Al_2Si_3O_<12>-Mg_4Si_4O_<12> join: an infrared,Raman and NMR study." Phys.Chem.Minerals. 16. 428-435 (1989)
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[Publications] Akaogi,M.: "The ZnSiO_3 clinopyroxene-ilmenite transition: heat capacity,enthalpy of transition and phase equilibria." Phys.Chem.Minerals. 17. 17-23 (1990)
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[Publications] Akaogi,M.: "Thermodynamics and stability relations of mantle minerals" Dynamic Processes of Material Transport and Transformation in the Earth's Interior (Terra Scientific Publishing Co.). (1990)
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[Publications] Motoyama,T.: "The crystal structures and cation distributions of Mg and Fe of natural olivines." Mineral.J.14. 338-350 (1989)