1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540622
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
竹野 節夫 広島大学, 理学部, 教授 (00033829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 隆司 広島大学, 理学部, 助手 (70112167)
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Keywords | 黄鉄鉱 / 成長模様 / 磁硫鉄鉱 / stoiochiometric FeS / d(102) / プラズマ・トーチ溶融法 / Cu-Fe-S系 |
Research Abstract |
Cu-Fe-S系には多数の鉱物種が含まれており、それら相互間の安定関係にはいまだ明らかであいものも多い。とくに、天然産鉱物に見られる低温での相平衡関係はきわめて複雑である。本年度は下記の2点に重点をおいて研究を行なってきた。 1.異常なd(102)値をもつhexagonal pyrrhotite 本研究代表者と西独ハイデルベルグ大学のMoh教授と共同で開発したプラズマ・トーチ炉による硫化鉱物の熔融実験の過程で、これまで安定な鉱物組合せでないとされてていたbornite-pyrrhotiteの鉱物組せが得られる事については昨年度既に報告している。この場合、borniteと共生するpyrrhotiteの化学組成はほぼstoiochiometric FeSであるが、今年度このpyrrhotiteのX線粉末データを詳細に検討した。その結果、stoiochiometric FeSのd(102)値より大きな値を持つhexagonal pyrrhotiteを見出した。EPMAによる化学分析結果もstoiochiometric FeSよりもiron-richである事を示している。このphaseの存在は、特定条件下でのFe-S系の相平衡関係のみならず、pyrrhotiteの結晶構造にも新知見を加えるものである。現在西独学会誌で印刷中である。 2.島根権斐川鉱山吉田鉱床産黄鉄鉱お研究 島根権三刀屋町付近に発達する20ケ所近くのセリサイト鉱床の中で、吉田鉱床に限って最大粒径2cmに達する六面体の黄鉄鉱の自形結晶が普遍的に産出する。この黄鉄鉱は(100)面上に常に成長模様が観察される。今年度、この黄鉄鉱自形結晶について、共生する粘土鉱物を明らかにした後、黄鉄鉱中に含まれる微量元素の測定、格子定数の精密測定および結晶表面の成長模様の検討を行なった。その結果、鉱床の上部ないし中央部では過飽和度の高い状態で黄鉄鉱の晶出したことが明らかとなってきている。
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[Publications] Ryuji KITAGAWA.: Mining Geology. 38. 279-290 (1988)
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[Publications] Ryuji KITAGAWA.: Mining Geology. 38. 357-366 (1988)
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[Publications] Setsuo TAKENO.: Neues Jahrbuch fur Mineralogie Abh.(1989)