1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡 泰夫 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (60013520)
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Keywords | ブリルアン散乱 / 超薄膜 / 表面弾性波 / 表面マグノン / タンデム / ファブリーペローチ渉計 / シリコン / コバルト |
Research Abstract |
本研究の目的は半導体基板上の超薄膜や多層構造を持った超格子薄膜の性質をブリルアン散乱により評価することである. このため今年度は 1.不透明物質のブリルアン分光ができる高性能タンデム5重透過型ファブリーペロー干渉分光計の開発・改良を行った. これはピエゾ素子を用いて, 干渉計を自動安定制御しながら分光測定を行うもので, 制御系の改良により, 習熟者のみならず, 大学院生などにも使用できるものとなった. 2.ブリルアン分光実験は, Si基板上のAu, Ag薄膜の表面弾性波の性質を膜厚を変えて詳しく測定し, 基板の影響を受けた表面弾性波の性質を調べた. 膜厚が10-100Aと非常に薄い時は, 金属膜の島状構造や膜成長初期の結晶性が, 表面波の異常となって現れることが分かった. 3.磁性体金属多層薄膜は, 記録媒体などの応用上重要な材料であるが, この超薄膜状態における磁気的性質を表面マグノン(表面磁性波)のブリルアン散乱で調べた. Si基板上にCo薄膜とSiO2の多層膜を真空蒸着法で作製し, この表面マグノンを外部磁場の下でのブリルアン・スペクトルとして測定した. スペクトルの分裂より2層のマグノン波に相互作用があることが分かり, またこれらの磁場依存性を解析することにより, Co多層薄膜の飽和磁化, g値を求めた. SiO_2膜が50Aより薄くなると, 飽和磁化が増大するなど, バルクと異なったCoの磁気的性質が現れる. 4.これまでに行った実験から基板上の極薄膜の物性研究に, 表面波ブリルアン分光が非常に有効であることが確認できた. 今後各種の多層超格子物質について系統的な研究をして, この光学的評価法を確立する. 国内においては不透明物質の表面波ブリルアン分光はまだ未開の分野であり, 不透明半導体・金属・磁性体で表面弾性波・表面磁性波の観測に成功したことに力を得て, この研究を発展させたい.
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[Publications] Y.OKA: (1988)
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[Publications] Y.Yamamoto: (1988)
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[Publications] S.Ishikawa: (1988)