1987 Fiscal Year Annual Research Report
新しい赤外線デバイス材料ZnHgTeの作製と基礎物性
Project/Area Number |
62550013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田口 常正 大阪大学, 工学部, 講師 (90101279)
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Keywords | ZnHgTe / 赤外線検出器 / 有機金属気相法 |
Research Abstract |
Te溶媒を用いたトラベリングヒータ法により, 赤外線検出器材料として有望なZnHgTe結晶のZn組成を0.02から1まで変化さし生長を行なった. Hg蒸気圧が高いので成長アンプル内にArガスを1気圧封入した結果, 成長温度約700°CでZnが0.02から0.8まですべてn型伝導を示した. 電気特性(比抵抗, キャリア濃度, 移動度)をホール効果を用いて, Zn組成の異なる試料について測定し, 次のような結果を得た. (1)x=0.2の試料の室温での電子移動度は6×10^3cm^2/v・sで, 150K付近で最大値約10^4cm^2/v・sとなる. (2)電子濃度の温度依存性から伝導帯の下約10meVの所にドナー準位が存在することが明らかになった. (3)組成xを増加さすことによって, 室温における電子移動度が合金散乱により減少することがわかった. 特に, 合金散乱の理論により解析した結果により減少することがわかった. 特に, 合金散乱の理論により解析した結果, Znの多い場合の電子移動度は理論値から大きくずれることがわかった. これは, 単純な合金散乱機構だけでなく, 粒界などのマクロな欠陥による電子散乱を考慮に入れなければいけないことを示している. (4)xが0.33を越えた試料では, 約280Kでホール計数がn型からp型へ変化し, 77Kで正孔移動度は3×10^3cm^2/v・sに達した. さらに, 有機金属気相法によりZnHgTe単結晶膜を作製する目的で, 先ず, (100)GaAs基板上にZnTe膜を育成した. 用いた原料は(CH_3)_2Znと(CH_3)_2Teであるが, 有機Teは分解温度が高いので約400°Cにおいてクラッキングを行なって, 基板温度350°Cでエピタキシャル成長を行なった. オージェ電子分光, SEM, X線解析の実験から格子定数を6.10Åの表面モフォロジーの平坦な膜が得られていることが明らかになった. また, 4.2Kにおけるフォトルミネッセンススペクトルから2.375, 2.364eVに中性アクセプタ束縛励起子と2.2eVにおける酸素束縛励起子発光が見られ, 極めて良質なZnTe膜がGaAs基板上に成長していると考えられる.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 寺田敏行, 江川満, 田口常正, 平木昭夫: 表面科学. 8. 498-504 (1987)
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[Publications] T.Taguchi;T.Sasaki;T.Terada;M.Ekawa;A.Hiraki: Journal of Crystal Growth. 86. 819-825 (1988)
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[Publications] T.Sasaki;T.Taguchi;A.Hiraki: Jap. J. Appl. Phys. Letters. (1988)
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[Publications] 江川満, 川上養一, 田口常正, 平木昭夫: 表面科学. (1988)