1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550051
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関根 英樹 東北大学, 工学部, 教授 (20005359)
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Keywords | 複合材料 / 破壊 / ガラス繊維強化有機複合材料 / 破壊靭性 / 低温 / 微視破壊 / アコースティック / エミッション |
Research Abstract |
ガラス繊維強化有機複合材料は住宅機器, 舟艇などの工業材料としてこれまでも多量に使用されてきたが, その優れた電気絶縁性, 電波透過性, 耐食性が注目され, 近年, 核融合炉, 磁気浮上車両, MHD電波などの超電導マグネットの電気, 熱絶縁材料や支持材, 航空機, 宇宙機器の一次構造部材および低温圧力容器などへの使用も検討されている. 本研究では, ガラス繊維強化有機複合材料のシートモールディングコンパウンド(SMC)を用いて, 微視破壊を的確に検地することのできるAE法を併用した破壊じん性試験を行い, まずはじめに低温におけるガラス繊維強化有機複合材料の破壊じん性を検討した. その結果, 室温の場合にはAE累積エネルギーの急増開始荷重より求めた破壊じん性値K_<AE>値はASTM E399の5%オフセット法から得られる破壊じん性値K_Q値によく一致するが, 液体窒素温度の場合にはK_<AE>値はK_Q値より大きく, 一致しないことがわかった. また, K_<AE>値は低温になると大きくなることが明らかとなった. さらに, 破面観察より, 切欠先端に繊維と母材との界面はく離や母材の割れおよび繊維の破断の微視破壊が累積し損傷域が形成されることや, K_<AE>値に対応する荷重に達すると損傷域が急速に拡大することを明らかにした. 次に, 微視破壊に関するこれらの知見に基づいて, 破壊じん性値算定モデルを作成し, 繊維の引張強さを変数として含んでいる次式の破壊じん性値の算定式を導き, 詳細に検討した. K_<AE>=(8P_mω_f6_<fb>)/(π{ρ_f(1-ω_f)+ρ_mω_f})√<l/(2π)>ここに, ωfは繊維の重量含有率, σ_<fb>は繊維の引張強さ, ρ_fおよびρ_mはそれぞれ繊維と母材の密度, lは繊維が橋渡し状態で荷重を受け持っている微小区間である.
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