1987 Fiscal Year Annual Research Report
実用材料の液体環境中摩擦・摩耗に関する電気化学的研究
Project/Area Number |
62550060
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
後藤 穂積 福岡工業大学, 工学部, 教授 (60026101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦田 実 福岡工業大学, 工学部, 助教授 (30125166)
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Keywords | 実用材料 / 摩耗 / 液体環境 / 摩耗形態のせん移 / 溶存酸素 |
Research Abstract |
実用材料の腐食環境中摩擦・摩耗試験におけるシビヤーマイルド摩耗のせん移機構を調べるため, 炭素鋼S15Cを用いて, 湿り空気中, 乾燥空気中, イオン交換水中および食塩水中において, 接触荷重, 食塩水の重量%濃度, 溶液中の溶存酸素量を変数として, ピンーディスク形式の摩耗試験を行った. 試験中, ピンとディスクの相対変位を連続的に測定し, 摩耗率を算定した. 試験後, 摩耗面と摩耗粉の走査形電顕写真を撮影し, 摩耗粉に関しては二次元画像処理装置を用いて, 円相当径や真円度などの頻度分布を求めた. 乾燥空気中のシビヤーマイルド摩耗のせん移荷重(シビヤ摩耗が発生しない下限界値)は0.1kgf程度であるが, 空気飽和イオン交換水中のせん移荷重は著しく増加して30kgf程度となった. 空気飽和0.5%食塩水中ではせん移荷重は40kgf以上となり, 摩耗試験機の負荷容量を越える恐れのため, これ以上の荷重で試験を実施できなかった. マイルド摩耗域では, 摩耗率は荷重にあまり依存しない. つぎに, 接触荷重を40kgfの一定とし, 空気飽和の条件(溶存酸素量約9mg/l)で食塩水の濃度を0.5%から順次減少させて摩耗試験を行ったところ, 0.005%付近でマイルド摩耗からシビヤ摩耗へのせん移が起こった. 一方, アルゴンガス吹き込みで溶存酸素量を約0.05mg/lに低下させると, 0.5%付近でシビヤ摩耗へのせん移が起った. マイルド摩耗が起こる食塩水濃度の範囲では, 摩耗率は濃度の増加とともに若干減少する傾向にある. 乾燥空気中の摩耗試験で採取された摩耗粉の寸法・形状に関して画像解析を行った結果, 平均粒径はマイルド摩耗粉で約1μm, シビヤ摩耗粉でも約3μmであり, 大きい摩耗粉が発生すると言われているシビヤ摩耗域でも, 大多数は微小摩耗粉で占められているようである. 今後, 溶液中で発生する摩耗粉の解析を行う予定である.
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