1987 Fiscal Year Annual Research Report
混合モード荷重を受ける高靭性材料の延性破壊に関する研究
Project/Area Number |
62550065
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 繁 東京工業大学, 工学部, 教授 (90016436)
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Keywords | 延性破壊 / 混合モード荷重 / き裂先端近傍の弾塑性応力変位場 / 微小空孔の発生と成長 / 破壊進行領域 / J積分の適用限界 / 全ストレッチゾーン長さ |
Research Abstract |
疲労予き裂を導入した3点曲げおよび4点曲げ試験片をもちて, 交点または荷重点の位置を適当に移動させて, 混合モード延性破壊試験を行った. また, 試験片の変形やJ積分などについ弾塑性有限要素解析を行った. その結果, モートII成分の小さい範囲では, (1)限界ストレッチゾーン幅SZWcはき裂の上下面で互に異った値を示したのに対して, 変形したき裂先端に沿う全ストレッチゾーン長さSZLは混合モード比(=モードII成分/モードI成分によらず破壊開始時にほぼ一定の値となり, 混合モード延性破壊の微視的破壊力学パラメータとして有効であることがわかった. (2)J積分とSZLの関係はJ積分の値が小さい範囲では混合モード比の影響を受けないが, J積分の値が大きい範囲では同じSZLの値に対してモードII成分が大きい程積分値は大きくなるという結果が有限要素解析によって得られた. このことは延性の低い材料ではJ積分の限界値が混合モードに比によらず一定となるのに対して, 延性の高い材料では混合モード比の影響を受けて一定とはならないという実験結果をよく説明している. 以上の結果をまめて, 中国上海市で開催された「破壊および破壊力学」国際会議で発表した. つぎに, 半無限き裂を考え, 境界条件としてき裂先端から十分離れた場所で応力拡大係数支配の変位を与えて解析し, モードII成分が増加するとき裂先端では一部がせん鋭化し, 他の部分が鈍化するという相反する挙動が生ずること, およびき裂船隊近傍の応力場は(i)弾性特異場が支配的な領域, (ii)塑性特異場が支配的な領域, (iii)鈍化き裂に特有な領域, および(iv)微小空孔の影響が顕著な破壊進行領域の4領域に分けることができることなどを明らかにした. これらの結果をJ.Mech, Phys, Solids誌に発表した. さらに, 混合モード荷重下の片側き裂付試験について解析し, J積分の適用限界を明らかにし機械学会で発表した.
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[Publications] S. AOKI: Journal of Mechanics and Physics of Solids. 35. 431-455 (1987)
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[Publications] M. SAKATA: Proc. of Int. Conf. on Fracture and Fracture Mechanics. 1. 54-58 (1987)
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[Publications] 吉田勉: 日本機械学会論文集.