1987 Fiscal Year Annual Research Report
無限大の剛性を持つ静圧機素により構成された高精度送り装置の開発
Project/Area Number |
62550113
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
水本 洋 鳥取大学, 工学部, 助教授 (80108795)
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Keywords | 静圧軸受 / 静圧ねじ / 自動調整絞り / 静剛性 / 無限剛性 / 負剛性 / 動特性 / ステップ応答 / スクイズ効果 / 減衰係数 / 低粘度油 / 空気静圧軸受 |
Research Abstract |
62年度の研究の結果, 次の事が明かとなった. (1)油膜によるスクイズ効果を減少させるために, 絞り部, 軸受部などの油膜厚さを同寸法の固定絞り付き静圧軸受よりも大きく設計した静圧式自動調製絞り付き静圧ラジアル軸受, 静圧円錐軸受, 静圧ねじを製作した. (2)これら静圧機素の静剛性を測定した結果, 静剛性を無限剛性, さらには負剛性とできることが確認された. しかしながら設計段階では予測困難な作動油の調製絞り部での漏れのために静剛性が無限大となるときの供給圧は主軸受側の方が調製軸受側よりも高くなった. (3)ステップ応答を測定したが, 整定時間は1秒程度であり, 油膜厚さの増加, 低粘度油の使用による動特性向上への硬化は充分ではなかった. (4)静圧式自動調製絞り付き静圧機素の動特性を計算機によりシミュレーションし, 各設計パラメータの動特性に対する影響を調べた. その結果, 調製絞り可動部を支持する調製軸受の固有振動数を増加し, 減衰を少なくすることが主軸受の動特性向上に効果的であることがわかった. (5)作動流体を空気として静圧式自動調製絞り付き空気静圧スラスト軸受を設計, 製作し, その静剛性を無限大, あるいは負とすることができた. (6)空気を作動流体とした場合, 流体膜の厚さは油の場合の数分の一としなければならないが, 流体粘度の低さのためにステップ荷重に対する整定時間は10msecとなり, 10Hz程度の変動荷重に対しても充分な応答性を示した. 以上より, 静圧式自動調製絞りは空気潤滑においては良好な動特性を示すことが確認された, 油潤滑においても充分な動特性を持たせるには, 使用油粘度の一層の減少, 油膜厚さの一層の増大を計るとともに, 絞り面積, 軸受面積を減少させることにより, 絞り面, 軸受面での減衰係数を空気静圧軸受と同程度まで減少させる必要がある.
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