1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550133
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川越 茂敏 九州大学, 総合理工学研究科, 助手 (10044546)
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Keywords | 凝縮衝撃波 / ノズル流れ / 全圧損失 / 凝縮領域 / 湿り空気 / 斜め衝撃波 / 境界層 / 蒸発タービン |
Research Abstract |
本研究では, 蒸発タービンの効率向上の観点から, 吸込み式超音速風洞を用い, 湿り空気がノズルで急激に加速膨張する際に, 凝縮に伴って生ずる凝縮衝撃波について, 凝縮衝撃波を含む凝縮流れの全圧損失のメカニズムや, 凝縮衝撃波と境界層及び斜め衝撃波との干渉など, 凝縮衝撃波の特性を明らかにする. 用いた風洞の持続時間は約5秒で, 測定部には先細末広円弧ノズル(ハーフノズル)を装着した. ノズル中心軸に相当する下壁には, 圧力変換器を取付け, 持続時間中に下壁を流れ方向にステップ状に動かし, 軸方向の静圧及び全圧分布を計測した. 湿り空気の相対湿度は0〜90%の範囲で変化させた. 実験は8種類のノズルについて行い, 光学観測にはシュリーレン法を用いた. また凝縮流れの数値解析も行った. 得られた主な結論は 1.凝縮衝撃波は非平衡凝縮領域内に発生し, 初期相対湿度と初期温度が高いほど, ノズルスロートに近い位置に生じ, その形状は垂直状となる. 垂直状の凝縮衝撃波が発生すると, その直後の流れは亜音速流れとなるが, 凝縮による加熱効果と断面積による膨張効果のため, さらに下流では再び超音速になるなど, 凝縮衝撃波の形状と流れの関係を明らかにした. 2.凝縮による全圧損失は, 非平衡凝縮領域のみでなく, その下流においても起こる. 損失は初期相対湿度や初期温度が大きいほど大きく, また同一の相対湿度と温度に対しては, ノズルの膨張割合が大きいほど大きい. 本実験範囲で得られた全圧損失は約3〜8%である. 3.数値解析より得られた全圧損失の計算値は, 実験値より少し小さく, 2〜5%程度であった. 数値解析により全圧損失に影響を及ぼす初期相対湿度, 初期温度及びノズル形状など, 諸因子の効果が定量的に求められ, 凝縮流れの全圧損失の機構が明らかとなった. 現在, 凝縮衝撃波と境界層及び斜め衝撃波との干渉の実験を進めている.
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[Publications] Soon Boon KWON: JSME International Journal. 31. (1988)
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[Publications] 川越茂敏: 第66期全国大会(昭和63年10月, 九州大学).