1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550141
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
稲葉 英男 岡山大学, 工学部, 教授 (40133805)
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Keywords | 日射融雪 / 黒色融雪剤 / 水分飽和度 / 融雪速度 |
Research Abstract |
本年度は、昭和62年および63年度の室内および野外実験で得られた日射熱利用融雪剤(5%黒色カ-ボン添加炭酸カルシウム)散布による融雪実験結果にもとづき、数値シュミレ-ションによる融雪現象の定量的検討を行った。計算モデルとして、上部より日射熱を受ける水平雪層を一次元非定常熱・物質基礎式を誘導した。基礎式の構築にあたっては、融雪剤散布濃度、雪粒子径、雪密度、日射量周囲環境温度をパラメ-タとして考え、種々の組合わせのもとに各パラメ-タの融雪効果を数値計算により明らかにした。特に、未知の因子である日射吸収体の温度および融解水の雪層浸透係数は,実測値を用いて、数値計算を行った。結果的に、上述の諸因子に関する有効な無次元数を見い出すと共に、各無次元因子と無次元融雪量の関係を定量に導き出すことに成功した。さらに、実測値と計算結果の比較においては、良い一致がみられ、本数値計算モデルの妥当性を確認した。具体的な結果としては、粒径の小さな粉末状散布融雪剤濃度が0.25[Kg/m^2]付近で融雪促進効果が大きくこの値より大きな領域では散布融雪剤層の厚さによる断熱効果が大きくなり、雪層内部への伝熱量が減少するため、融雪促進効果が低下する。一方散布融雪剤濃度が0.25[Kg/m^2]より小さい領域では、散布融雪剤層が薄いために、雪層の一部が露出し、雪層の日射反応効果により融解量が減少する。日射量および外気温などの環境条件における融雪効果は、日射量が増加するにつれ、散布融雪剤表面温度が上昇し雪層内へ伝わる熱量が増加するため、増大する。また、外気温効果においては、外気温度が高い場合散布融雪剤表面から外気への熱損失が減少し、雪層内へ伝わる熱量が増加するため融雪効果が増大するが、外気温度が低い場合は雪層表面での融解による融雪水が雪層内へ浸透し、雪層内で再結晶化等が起こることより融雪効果が低下する。
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Research Products
(2 results)