1989 Fiscal Year Annual Research Report
沸騰二相流の伝熱と流動機構ならびにその相関に関する研究
Project/Area Number |
62550152
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加治 増夫 大阪大学, 工学部, 助教授 (90029306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 忠義 大阪大学, 工学部, 教務員
武石 雅之 大阪大学, 工学部, 助手 (80150499)
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Keywords | 気液二相流 / 沸騰流 / 熱伝達 / 環状流 / 乱流熱伝達 / 液滴エントレインメント / 圧力損失 |
Research Abstract |
本研究は管内沸騰流に対して熱伝達と圧力損失のアナロジを検討し、伝熱と流動機構を同時に実験的に調査するとともに、熱伝達率の予測法を確立することを目的としている。本年度は3年間の研究の成果をとりまとめた。主な内容は以下の通りである。 (1)空気-水系の加熱実験では、熱伝達率と圧力損失、ボイド率を同時測定した。とくに環状流について、熱伝達率を蒸気-水系の場合と比較したが、従来の相関式より全般に高くなることが分かった。また、摩擦圧力損失は従来の予測式と一致するが、ボイド率は十分な精度で予測できないことが判った。本研究で提案した熱伝達率と圧力損失、ボイド率を関係づける理論モデルと、実験結果との一致は非常によく、このモデルの妥当性を裏付けることができた。液滴エントレインメント流量の高精度な測定は非常に困難であり、今後の研究課題として残された。 (2)フレオン沸騰流に対して、多点光ファイバ-プロ-ブを開発して熱伝達率の測定と同時に管内のボイド分布を調査した。本プロ-ブは空調機内部の熱媒体の挙動の調査にも応用され、有効であった。 (3)蒸気-水系沸騰流の実験デ-タに対して、空気-水系の研究結果で得られた熱伝達と圧力損失のアナロジ-を適用したところ、比較的よい相関が得られた。両者の差は流動様式によって異なり、これをパラメ-タKで表示した。この相関結果に基づいて、物性値変化を伴う単相乱流熱伝達理論を環状流モデルに拡張し、蒸気-水系沸騰流の実験デ-タと比較した。その結果、計算値は実験値よりいずれの場合も50%程度低くなることが判明した。このモデルでは液滴のエントレインメント流量を正確に予測できず、エントレインメントによる液膜厚さの減少が判明すれば、本理論モデルが有効であることが明らかとなった。
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