1987 Fiscal Year Annual Research Report
生物の筋肉をモデルとした集積形微小静電モーターの開発
Project/Area Number |
62550185
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
壁井 信之 東京女子医科大学, 医用工学研究施設, 講師 (50096583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 喜一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (70063469)
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Keywords | 静電モータ / 電極 / 電位分布 / 誘電損失 / 端効果 |
Research Abstract |
本研究では筋肉の収縮の原理を応用して, 無機物質からなるバイオモータとしての集積形微小静電モータを, 現在の超微細加工技術を用いて開発することを目的とした. その手初めとして, モータ設計のために必要なデータを得るべく以下のような検討を行った. 静電リニアモータ内における電位分布を解析するために, 基本素子(コンデンサ)を数個直列に並べたコンピュータシミュレーションモデルおよび水槽を用いたシュミレータを制作した. これらのシュミレーションより静電リニアモータの電極形状, 電極配置, 電極間隔など, 幾何学的寸法と, その材料の導電率などによる電位分布への影響を検討した. その結果を用いて, 単一電極モデルと二電極モデルを設計試作した. 電極は材料に抵抗損失の少ない銀を用い, 電極を支持体に真空蒸着することで制作した. また電極支持体には平面度やギャップの精度を出すために石英ガラスを用いた. この二つの実機モデルを用いて, ロータの位置と発生推力の関係の実測値とシュミレーションによる理論値との違いを検討した. その結果, 一電極モデルでは理論値と測定値では若干の違いが認められたが, これはロータが電極内に挿入される前は, 電極端の端効果の影響, 挿入後は誘電損失の影響によるものと考えられた. 二電極モデルでは, 理論値と測定値の差が一電極モデルより大きくなった. これは電極とロータ間のギャップ管理の不十分さに起因する電荷の漏洩による影響と考えられた. また電極が単一の場合より, 端効果はより大きくなることも分かった. 以上より, 電極とロータ間のギャップを高い精度で管理することが重要なこと, また多電極を配置する場合は, なんらかの方法で, 二つの電極間の電位分布の勾配が小さくならないように, 電位の勾配が電極端近傍できわめて大きくできる, 新な工夫が必要なことが分かった.
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