1987 Fiscal Year Annual Research Report
離調効果を導入した光双安定半導体レーザの高性能化, 複合化に関する研究
Project/Area Number |
62550278
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 陽一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (00013110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 泰彦 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (30134638)
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Keywords | 光双安定 / 半導体レーザ / 光スイッチ / 微分利得 |
Research Abstract |
将来の光情報処理・光コンピューティングの有力素子と考えられる双安定半導体レーザへのDFB構造の導入およびその離調効果の利用によって, 素子の高性能化が可能であることを理論的, 実験的に示した. 双安定DFBレーザにおける離調効果の理論的検討にあたっては, まず, 半導体レーザの利得スペクトルを考慮した解析法を提案し, これまで用いられてきた方法よりも厳密な特性解析を可能であることをしめした. この新たに提案した解析法に基づき, 双安定DFBレーザの静特性, 動特性を詳細に解析した. その結果, 静特性については, 双安定性を特徴づけるヒステリシス幅, 立ち上がり, 立ち下がり閾値は発振波長に非常に強く依存しているので, 離調による制御が可能なことが明らかとなった. 動特性では, 短波長側への離調によって, スイッチング速度はON・OFF動作とも2倍以上に高速化できる可能性があることを示した. この速度向上は, 離調にともなう増幅領域の微分利得増大によるところが大きく, ON動作におけるスイッチON遅れ時間は微分利得にほぼ比例していて, OFF動作における立ち下がり時間は微分利得と光子密度の積の平方根にほぼ比例して高速化されることがわかった. また同時に, スイッチOFF実現に必要なリセットパルス幅も短波長側への離調によって短縮されることが示された. さらに, スイッチング速度については, 活性層へのpドーピングによる一層の高速化を検討し, 最適なドーピングレベルの存在を明らかにした. 一方, 2電極構造の双安定DFBレーザを用いた基礎的な実験を行ない, 離調によるヒステリシス幅および閾値の変動を実験的に確認するとともに, これを高速化する可能性についても見通しを得た. これらを総合して, 離調効果を積極的に利用することによって, 光双安定レーザの特性を大幅に改善する可能性があることが新しい知見としてえられた.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hajime Shoji, Yasuhiko Arakawa, and Yoichi Fujii: The Transaction of the IEICE. E70-4. 309-311 (1987)
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[Publications] 小路元,荒川泰彦,藤井陽一: 電子通信学会光・量子エレクトロニクス研究会. OQE86-159. 95-101 (1987)
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[Publications] 小路元,荒川泰彦,藤井陽一: 電子情報通信学会光・量子エレクトロニクス研究会. OQE87-54. (1987)
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[Publications] Yoichi Fujii: Applied Optics. 25-7. 1061-1065 (1986)
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[Publications] Yoichi Fujii and C.D.Hussey: IEE Proceedings. 133-4. 249-255 (1986)
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[Publications] 藤井陽一編: "先端光技術" アグネ承風社, 282 (1988)