1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550284
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
米沢 義道 信州大学, 工学部・情報工学科, 教授 (90020982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 一典 信州大学, 工学部・情報工学科, 助手
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Keywords | 音痴 / 矯正 / 発声 |
Research Abstract |
はじめに, 本研究は従来, 研究の少ない音痴を対称とするために人の音感についての基本的な検討がまず必要であった. そしてそのような物差し作りのうえに立って音痴の程度を評価しつつその成り立ち(メカニズム)を検討した. そのため, 研究は大別して2つの項目となった. 1.音感の評価方法 音感についてはまず, 旋律の基になる音程と単独音の再現能力について検査をおこなってみた. 旋律は最もありふれた音階を発声してもらうこと, 様々な周波数比の音程を呈示してそれと同じように発声してもらうこと, などについて周波数的な誤差および表現のあいまいさを表す標準偏差などを評価基準としてみた. また単独音については提示音と同じ高さと思う発声テストを中心として様々な形態の評価方法を試みた. この結果単独音と音程の2方向からの評価が妥当であるとの結論に達した. 2.メカニズムの推定 音痴現象がどうして起こるかは今までに仮設すらない. そこで1の実験結果から, いくつかのモデルを考える材料が得られており, 我々が予想していたように複合音からの基本波抽出が難しいことが示された. さらにこの原因が複合音中の第1高調波の存在であることも示された. これから自分の発声音からの基本周波数抽出ができないため自分の音の高さがコントロールできないといいう音痴のモデルが予想された. この推論より, 実験的に矯正する2種の方法について試みた. 一つは耳に入る自己発声音を電子的に基本波のみにするものである. もう一つは提示音を本人の発声音のピッチを変えながら示すものである. いずれの方法によっても音痴の人の発声周波数は顕著に改善された. このことは, 音痴のメカニズムが推定したものに近い可能性が示された. なお, 当初予定したリズム感等の音高感覚以外の要素については予備実験はできたものの本格的な検討は来年度に回った.
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Research Products
(1 results)