Research Abstract |
今年度はフーリエ変換及びその逆変換装置を標題の音声帯域用に共する様, サンプル数を拡張(64ポイント)する事から始めた. これは, 一般には計算機によるデイジタル処理用といわれていたフーリエ変換方式を, 完全リアルタイム処理化, 及び人力信号に含まれるすべてのスペクトルの振幅上方とそれらの位相情報を同時に並列的に得られる回路を, スイッチトキヤパシタ回路によるそのプロトタイプとして8ポイントで確認しているからである. しかも変換出力が位相情報を伴った余弦波の形で得られるので, 逆変換, すなはち合成回路も加算するだけの極めて簡単なものとなる. そこで, まずスイッチトキヤパシタ回路の構成上, 人力-出力に至る64ポイント回路の信号の伝達を, 電荷の転送, 演算を基本としてシミュレーションを試みた. この場合, 特に精度に関連性が深いと思われる容量素子のばらつき, スイッチ素子のON抵抗に注目し, これが変換出力, あるいは逆変換出力に与える影響について検討した. その結果, 個別部品による構成でも, 本方式は64ポイント迄, 充分拡張可能である事を確認した. また, 既に得ている8, 16ポイント回路との比較においても本方式は充分であるとの認識を得た(電子情報通信技研報告で発表), 次に, これらの成果に基ずいて64段の遅延回路, 32段の乗加算及びクロック電源回路の各パターンの設計, 制作に至っている. 現在, 二, 三の変換出力回路の完成を見ている. これらの基本的な周波数特性, 入出力特性等については, 実験的に満足すべき結果を得ている(電子情報通信全国大会に発表予定). なお, 変換出力が振幅と位相情報を伴った時間関数としての余弦波であるので, その振幅, 位相量を抽出, 処理する方式を設計中である. また, 入力音声の基本周期, スペクトル振幅値の変動を, それぞれ, 周波数変調, 振幅変調として捉える方式を予測している.
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