1987 Fiscal Year Annual Research Report
自動車専用運搬船のラッキング変形に対する横強度部材の効果的配置に関する研究
Project/Area Number |
62550319
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
角 洋一 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (80107367)
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Keywords | 構造解析 / 船体はり / ラッキング変形 / 構造配置 / 自動車専用運搬船 |
Research Abstract |
自動車専用運搬船は, 車両荷役効率を重視する立場から, 乾舷甲板上部に横隔壁を持たぬ構造となっており, 斜波中での非対称荷重に対する横断面内の剛性が低く, 横断面内の角変形(いわゆるラッキング変形)による損傷を起こし易い. したがって, ラッキング変形の抑止が構造強度上の重要な課題となっており, 特に, 車両通行様の大型開口のある部分横隔壁の開口隅部や強力特設肋骨のコーナー部の損傷が問題となることが多く, 従来の研究は, このような部分の損傷発生メカニズムの解明を中心に行われてきた. 本研究では, 全船のラッキング変形を抑止するという立場から, 先づ強力特設肋骨などの横強度部材の剛性を船長方向に適当に変化させることによって最適な構造配置を得る可能性があるか否かを数値的に検討した. さらに, ラッキング変形が, 甲板・船側外板などの主要縦通部材の面内たわみに起因するものであることを考慮し, これらの部材の板厚の適正な配置によってラッキングが効果的に抑止されうるか否かについても検討した. 数値計算に際しては, 既存の船体はり3次元骨組解析プログラムの外力計算ルーチンにおいて, ローリングによる左右非対称荷重成分から, 木平・重直せん断力およびねじりによるせん断流成分を差引き, 純粋なラッキング荷重のみを船体に負荷させる機能を追加した. 数値計算結果によると,横肋骨の剛性を増したり, その船長方向の分布を変化させたりしてもラッキング変形を抑止することは極めて困難なことが明らかとなった. 一方, 船側外板および甲板などの主要縦強度部材の面内曲剛性を上昇させると, ラッキング変形は有効に抑止される可能性があり, このための板厚の最適な配置というような問題も検討に価することが明らかとなった. 今後は, 上述の最適化およびラッキング変形によって発生する疲労き裂の強度検討が重要な課題となろう.
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