1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550322
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
豊貞 雅宏 九州大学, 工学部, 助教授 (30188817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 勇 九州大学, 工学部, 教授 (80037697)
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Keywords | CTOD値 / 局部脆化域 / 疲労予き裂導入法 / 多重溶接熱サイクル |
Research Abstract |
多層盛溶接継手の熱影響部(HAZ)は種々の多重熱サイクルを受け, それに対応して種々のミクロ組織がHAZ内に生成する. マクロ断面から任意点における最高到達温度の履歴を熱伝導解析より推定し, 再現熱サイクル材で生じるミクロ組織の知見と組み合わせて, HAZ内におけるミクロ組織分布図を自動的に得るプログラムをまず開発した. 海洋構造物で頻繁に使用されているBS4360-50E鋼の多層盛溶接継手より, CTOD試験片およびシャルピー試験片を採取し, 上記ミクロ組織分布図を参照して冶金学的に脆化するミクロ組織を生じる領域に切欠先端があたるように切欠を加工した. CTOD試験片に関しては, 溶接残留応力によって疲労予き裂が一様に進展しないため, 種々の処理を施こした後疲労予き裂を賦与し, 処理法がCTOD値に与える影響も調査した. 試験後CTOD試験片に関しては疲労予き裂先端近傍で再度マクロ写真をとり, 上述の手法でミクロ組織分布図を求め, 疲労予き裂が横切る脆化域の種類およびその大きさを調査した. その結果限界CTOD値は局部脆化域が大きくなる程低下し, 最も脆化した領域は粗粒域に二層域温度が加わる, 云ゆる粗粒+AC_1領域であり, 次に粗粒部が脆化していることが判明した. また脆性破壊発生点もこれら局部脆化域であることが解った. また疲労予き裂先端形状に関しては, プラテン法が最も安定して一様な疲労予き裂を賦与できるが, BS5762規格でinvalidと判定されるものでもCTOD値にはあまり大きな影響を与えないことが判明した. これらのことから溶接構造物の耐脆性破壊安全性を評価するために用いられている溶接継手部のCTOD試験法について重要な知見を得た. 一方シャルピ値についても切欠底にしめる局部脆化域が大きくなる程低下する傾向は認められたが, ばらつきが大きくCTOD値程, 脆化域寸法との明確な関係は得られなかった.
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Research Products
(1 results)