1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550324
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小寺山 亘 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (80038562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 正 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (00161026)
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Keywords | 海水打ち込み / 転覆 / 数値シミュレーション / 画像表示 / 斜め追波 |
Research Abstract |
昭和62年度の研究成果として、海水打ち込みによって船の甲板上の海水が増加したり、流出したりする場合の過渡的な船体挙動の数値シミュレーションができるようになった。しかし、横軸に時間を取り、数値シミュレーションの結果を時刻歴としてグラフ化しても、それだけでは海水が打ち込みつつある過渡的な状況下での船体挙動の全体像は把握しにくい。そこで本年度の研究では、数値シミュレーションの結果をコンピュータ画面にアニメーションとして表示することにより、船体運動と海水打ち込み、転覆の関係を連続した画像で理解し、船の安全性を検討する際に有益な情報を提供できるようにした。 このグラフィック・アニメーションでは、入射波、相対水位、海水打ち込み量などが復元力を失って転覆する瞬間まで船体動揺と共に表示される。本研究では横波中の転覆を扱ったので画像は二次元表示であるが、コンピュータ・グラフィックスは三次元になっても原理は同じであり、それへの拡張は容易である。三次元的な船の転覆現象は、船が斜め追波中を航走する時に起こることが知られている。その現象は複雑で、現在でも不明な点が多いが、本年度の研究ではこの分野の研究の端緒となることを目ざして、斜め追波中で横傾斜して航走する船に作用する流体力の計算方法についても理論的に検討した。若干の数値計算も行い、その結果、斜め追波中での横傾斜角に比例する、いわゆる転倒モーメントは、低速の場合は入射波の圧力分布によるFroude-Krylou力の計算で十分であるが、高速になると船の動揺の影響が大きくなり、その推定が重要になることなどを示した。今後は、斜め追波中での海水打ち込みをともなった船体挙動の数値シミュレーション、及びその画像表示が十分な精度で行えるよう根気強い研究の積み重ねが必要である。
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