1987 Fiscal Year Annual Research Report
スーパーコンピュータに適した大規模線形解析法の開発-修正共役傾斜法-
Project/Area Number |
62550339
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
谷口 健男 岡山大学, 工学部, 助教授 (30026322)
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Keywords | 線形代数方程式 / 修正共役傾斜法 / プレコンディショナー / スーパーコンピューター / M行列 / 条件数 / ICCG法 |
Research Abstract |
本年度の目標は共役傾斜法の収束計算を加速させうる有効なプレコンディショナーの開発である. まず大規模計算が可能な1次元配列を用いた共役傾斜法プログラムを作成し, ひきつづいて今日提案されている様々なプレコンディショナーを調査・分類およびプログラム作成を行った. 結果として, それは行列分離型と行列分解型に大別されること, 計算効率・性能より後者が良く利用されることが判明した. もし行列が差分法を用いて求められれば, M行列となりそのプレコンディショナーとして様々なものが適用可能である. 一方本研究で対象としているのが土木工学分野での力学問題を有効要素法を用いて離散化し得られる大規模線形系であって一般的にはM行列ではなくなる. 数値実験の結果, 構造的には板曲げ問題・シェル問題が, そして有限要素の種類ではアイソパラメトリック要素がそれに該当することが判明した. これらについては, プレコンディショナー作成にあたってM行列でないため計算不能が発生した. その対応策としてまず行列の正規化を行い, つぎに分解過程で主対角値をパラメータを用いて修正する手法を開発し, 最終的には約10倍程度の加速率を得ることに成功した. これら以外の定歪要素を用いたFEM解析, トラス・ラーメン等の骨組問題においてはM行列となることより, 通常用いられるICCG法により10倍程度の加速率を得ることができることが判明した. 本年度の研究により, 共役傾斜法に適切なプレコンディショナーを選択すれば約10倍程度収束性状が改善されることが判明したが, 上に述べた板曲げ, シェル等の問題では条件数が本来他の問題に比べて10倍程度大きい. よって, より一層収束性状の向上が期待できるプレコンディショナーの開発が望まれることになる.
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[Publications] 谷口健男: bit:スーパーコンピュータと大型数値計算. 1699-1709 (1987)
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[Publications] 谷口健男, 藤原浩二: 土木学会中国四国支部研究発表会. (1988)