1987 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリートせん断破壊面におけるエネルギー吸収と径路依存型構成則
Project/Area Number |
62550345
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前川 宏一 東京大学, 工学部, 助教授 (80157122)
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Keywords | コンクリート / ひびわれ面 / 拘束圧縮応力 / 剪断応力 / 終局剪断強度 / 接触面密度 / 履歴特性 / 鉄筋の引き抜け |
Research Abstract |
本年度は, 実験装置の作成および実験の実施を進めるとともに, 以下に示す解析的検討を行なった. (1)コンクリートひびわれ面における応力伝達挙動 引張応力によって予めひび割れ破壊を形成させた後, ひびわれ面に拘束圧縮応力と剪断応力を作用させた時の復元力特性を実験によって再現した. その結果, ひびわれ破壊域に沿う終局剪断強度は, ひび割れ幅と剪断変形の如何に拘らず, 拘束応力のみの関数となることが判明した. しかも剪断強度到達以後の挙動はほぼ弾塑性挙動となり, ひびわれ破壊域の剪断, 開口変位の割合は, 応力表示の剪断破壊包らく線に立てた法線ベクトルにほぼ平行となることが判明した. 以上の挙動に対して接触面密度の概念に立脚した構成則を提案し, 十分な精度でひびわれ破壊域の履歴特性まで含めて記述することに成功した. (2)鉄筋と剪断破壊域の複合挙動 剪断破壊域に対して直交方向に配置されている鉄筋によって, 破壊域が拘束される条件を実験によって再現した. この状態を解析する手法として, 鉄筋の付着理論と(1)で定式化した破壊域の応力伝達理論を組合せる手法の適用性を検討した. その結果, 鉄筋の引き抜けによって鉄筋近傍の剪断破壊域が局所的に損傷を受けることが判明した. したがって, 剪断に対して有効な面積が減少する形となり, 鉄筋降伏時の剪断変位が大きくなる結果となった. 鉄筋コンクリートの剪断破壊を解析に反映する場合には, この効果を考慮する必要があるが, 損傷の評価のために現在, 実験を実施しているところである.
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