1987 Fiscal Year Annual Research Report
砕波の物理過程に着目した海浜流の三次元構造の解明とそのモデル化
Project/Area Number |
62550370
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
灘岡 和夫 東京工業大学, 工学部, 助教授 (70164481)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 昌宏 東京工業大学, 工学部, 助手 (90171800)
|
Keywords | 砕波 / 海浜流 / 浮遊砂 / 三次元 / 非平衡 / 重み付き残差法 / リモートセンシング |
Research Abstract |
室内実験と並行して運輸省波崎海洋観測研究施設を利用した現地観測ならびにリモートセンシング画像(LANDAT SPOT)の解析を実施し, 以下の結論が得られた. 1)現地海岸では, 室内実験の場合と比べて, ウェーバー数の違いや海水と真水の違いにより相対的に多量の気泡が砕波によって連行される. この気泡の存在は, 大規模渦の生成・変形過程に密接に関与するため運動量の鉛直混合にも大きな影響を与える. 2)リモートセンシング画像の解析の結果, 緩勾配の砂質海岸では通常の離岸流によるものと考えられない濁水の沖方向流出パターンが検出され, その原因として, 砕波によって巻き上げられた浮遊砂による密度効果の可能性が高いことが示された. これらは総じて, 連行気泡や浮遊砂による密度効果としてとらえることができる. したがって, 本研究で目的としている準三次元海浜流モデルの構築にあっては, このような浮遊砂等による密度効果を導入する必要があると判断された. そこで, 海浜流モデルの開発の前段階として, 浮遊砂の移流拡散過程を算定するための準三次元浮遊砂モデルを新たに開発した. 開発にあたっては, 以下の点を考慮している. すなわち, 砕波帯内外の浮遊砂現象の本質は, その移流・沈降過程の非平衡性にあること, また, その非平衡性を十分にモデル内に反映させるには浮遊砂の鉛直濃度分布を精度良く算定する必要があること, などである. ここでは, このような要請を基本的に満足し, かつ, 既存の平面二次元モデルに比べて余り複雑にならない簡便な手法の開発ということを目指したモデル化を行った. 具体的には, 非平衡状態にある浮遊砂の鉛直分布も指数分布からそれほどずれないという経験的事実を利用し, 指数分布の傾きを表すパラメータと底面濃度の2つを変数にとり, これら2変数に関する連立偏微分方程式をもとの三次元移流拡散方程式から重み付残差法の考え型を用いて導出した.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 灘岡和夫, 渋谷慎一, 広瀬文人: 海岸工学講演会論文集. 34. 217-221 (1987)
-
[Publications] 灘岡和夫, 蒲田浩久, 八木宏: 海岸工学講演会論文集. 35. (1988)