1988 Fiscal Year Annual Research Report
T字型観測桟橋を用いた海底地形変動と漂砂量推定に関する研究
Project/Area Number |
62550373
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河田 恵昭 京都大学, 防災研究所, 助教授 (10027295)
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Keywords | 漂砂 / 漂砂量 / 掃流漂砂 / 浮遊漂砂 / 岸沖方向漂砂 / 海底地形 / 捕砂器 |
Research Abstract |
現地海岸における高波浪時の漂砂量の計測方法についてまず検討した。これまで、掃流漂砂量の精度の高い観測値がないため、各種の漂砂量式の妥当性が明らかではない。本研究では、2つのアイデアに基づいて、捕砂器を試作した。すなわち、その1つは波による局所洗掘を利用して、掃流漂砂を貯砂する部分を海底内にうずめることである。その寸法については、従来の波による局所法掘深と洗掘口径に関する資料を整理し、貯砂する部分の口径と同程度、洗掘されることを見出した。このようにすれば、漂砂の活発な高波浪時に、捕砂器が波によってほとんど動かないという長所を活かすことができる。ほかの1つは、捕砂器上50cmの所にエルボーをもつ管をつけて、岸・沖方向の流速変化を利用して、いずれかの方向の掃流漂砂のみを捕捉できるようにすることである。この理由は、浅海域では波は非対称となって、岸方向漂砂量と沖方向漂砂量は相違する。したがって、正味の漂砂量は両者の差であって、これを求めるには、それぞれの方向の漂砂量、すなわち半周期の漂砂量を計測しなければならない。そこで、本捕砂器では、エルボーの部分でとり込んだ海水を捕砂器の上面の漂砂が落ち込む部分から逆に噴出させて、半周期の漂砂しか捕砂できないように工夫した。本装置を用いて、昭和63年12月と平成元年1月の2回にわたり、京都大学防災研究所付属大潟波浪観測所のT型観測桟橋のクレーンを利用して、掃流漂砂の計測を行った。その結果、有義波高が1.7m程度の高波浪時の掃流漂砂量が恐らく世界で初めて観測することができ、従来の漂砂量式と比較したところ、かなりよい一致をみた。これと同時に、鉛直方向の5点で濃度計による浮遊漂砂の観測を行い、非砕波時には濃度のピークが鉛直方向にほとんどずれないことを見出した。したがって、以上の研究から漂砂量の推定に対して有効であることがわかった。
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