1987 Fiscal Year Annual Research Report
ひび割れの生じたコンクリート壁からの気体漏洩に関する研究
Project/Area Number |
62550411
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
滝口 克己 東京工業大学, 工学部, 助教授 (10016644)
|
Keywords | 気体漏洩 / コンクリート壁 / ひび割れ |
Research Abstract |
本研究は, コンクリート壁体に生じたひび割れを通して, どの程度気体が漏洩するのかを定量的に把握し, 気密性を必要とする壁体の設計資料を得ることを目的としている. 補助金交付申請書の実施計画にしたがって, 以下の研究を行った. (1)みがき板ガラスを用いた理想ひび割れモデル試験体を作製し, 気体漏洩試験法の検討を行った. (2)通常のコンクリートを用いて, 壁厚のみをパラメーターとし試験体を作製し, 一本の引張りひび割れを発生させ, 壁厚, 圧力差, ひび割れ幅と気体漏洩量との関係を明らかにした. (3)粗骨材の粒度分布を変化させた試験体で漏洩試験を行い, 粗骨材の粒度分布が漏洩量におよぼす影響を明らかにした. (4)粗骨材の形状を変化させた実験を行い, 粗骨材の形状が漏洩量に及ぼす影響を明らかにした. (5)実験結果の定式化手法を確立した. 以上の研究によって得られた具体的な知見を要約すれば次のようになる. (1)ひび割れの生じたコンクリート壁からの気体漏洩量は, 二平板間の圧縮性流体の一次元定常等温流れを表わす式を利用した実験式で定式化しうる. (2)ひび割れ面の摩擦係数は, 流量およびひび割れ幅の関数で表示しうる. (3)壁両面の絶対圧力が大気圧近傍で, 壁両面の圧力差が比較的小さく, 見かけのレイノルズ数が比較的小さい場合は, 二平板間の二次元ポアゾイユ流を表わす式を利用した実験式によって, 十分な精度で気体漏洩量を定式化することができる. (4)気体漏洩量は, ひび割れ面の形状に相当影響を受け, 粗骨材の大きさ, 形状, 性質によって異なる.
|
-
[Publications] 鈴木敏郎, 滝口克己, 井出豊, 内山正彦: 日本建築学会総合系論文報告集. 373. 27-33 (1987)
-
[Publications] T. Suzuki;K. Takiguchi;Y. Ide;S. Takahashi: Trans. of the 9th International Conference on Structural Machanics in Reactor Technology, Lausanne. H. 181-186 (1987)
-
[Publications] T. Suzuki;K. Takiguchi;Y. Ide;K. Kimura: International Association for Bridge and Structural Engineering Report. 55. 175-180 (1987)
-
[Publications] 鈴木敏郎, 滝口克己, 堀田久人, 井出豊: 日本建築学会構造系論文報告集. 384. 15-25 (1988)