1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550423
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
磯田 則生 奈良女子大学, 家政学部, 助教授 (60016871)
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Keywords | 住宅室内環境 / 温熱環境評価指標 / 皮膚温 / 温冷感 / 快適感 / 気流評価 / 床暖房 |
Research Abstract |
1.本研究では、主に関西地区における住宅を対象に、室内の温熱環境の実測および居住者の生活行動や温冷感等の調査を行い、温熱環境の実態を把握すると共に、人工気候室を用いての基礎実験により温熱環境と人体反応との関係を明らかにし、これらの結果を基に住宅における温熱環境の評価方法を検討し、温熱環境評価基準を提案することを試みた。 2.温熱環境実態調査では、断熱性能の良好な住宅、床暖房住宅および太陽熱利用住宅を対象に、寝室・居間・台所における温熱環境条件の経時変動を測定すると共に、居住者における着衣状況・温冷感・冷暖房機器の使用状況等をアンケ-ト調査を夏期および冬期に実施した。夏期の調査では、通風の良い住宅では30℃を越える場合でもあまり暑さを感じず、二重窓など断熱の良好な住宅ではほぼ28℃でク-ラ-使用時にはやや低いことが判った。また、冬期室温は床暖房住宅では居間暖房時室温は18℃〜23℃(床暖のない寝室でも13℃以上)、床温は25℃〜33℃であり、太陽熱利用住宅(暖気を居間窓際床下から吹き出す方式)での居間室温は17℃〜22℃と良好で、床温は日中18℃になることも判った。 3.人工気候室実験では、気流および放射熱の人体反応への影響を高齢者・青年を対象に実験した。夏期実験では、気流の気候緩和効果をみるため、快適な気流速度を選択してもらい、高齢者は反応が遅く、高温でも遅い気流を選択することを明らかにした。また、変動気流の実験では変動気流が快適性に関わる「爽やか感」に影響することを示した。冬期実験では放射熱に着目し、放射暖房・床暖房の実験を行い、室温20℃でも放射暖房を必要とし、床暖房の効果が高いことが明らかになった。 4.温熱環境実態調査・実験室実験で得られたデ-タを整理し、住宅熱環境評価基準値(58年度)、諸外国の基準値などとの比較検討を進め、住宅室内の温熱環境評価基準の作成中である。
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[Publications] 久保博子,磯田則夫: "夏期における冷風の局部暴露の影響について" 日本建築学会1989年度大会(九州)学術講演梗概集. 867-868 (1989)
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[Publications] 金鳳愛,磯田則夫,梁瀬度子: "床暖房の人体に及ぼす影響に関する実験的研究ーその4" 日本建築学会1989年度大会(九州)学術講演梗概集. 891-892 (1989)
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[Publications] 早川和代,磯田則夫,梁瀬慶子: "レクリェ-ションにおける快適温熱環境に関する基礎的研究ー第6報" 日本建築学会1989年度大会(九州)学術講演梗概集. 913-914 (1989)
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[Publications] 榎本ヒカル,久保博子,磯田則夫,梁瀬慶子: "夏期における高齢者の好まれる気流速度について" 空気調和衛生工学会近畿支部学術研究発表会論文集. 平成元年度. 147-150 (1990)
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[Publications] 磯田則夫: "住宅温熱環境の評価について." 日本建築学会1990年度大会学術講演梗概集. (1990)