1988 Fiscal Year Annual Research Report
公共図書館計画における平等性と効率性評価に関する研究
Project/Area Number |
62550429
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Research Institution | University of Library and Information Sciences |
Principal Investigator |
植松 貞夫 図書館情報大学, 図書館情報学部, 助教授 (50134250)
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Keywords | 公共図書館 / 図書館の利用者調査 / 図書館の経営分析 / 施設選択 / ロジットモデル |
Research Abstract |
1.前年度に引き続き、非連続型選択モデルであるロジットモデルを、千葉県柏市の住民を対象に行った調査データに用いて分析を行った。ロジットモデルの理論そのものとその応用手法は、未だ完成の域には達しておらず、分析では諸々の改良を試みた。このモデルの利用方法として、新設される図書館の吸引力を代表する蔵書冊数を段階的に変化させた時に、それまでその図書館周辺に在住している利用者が、その新設図書館を利用するか、既存の図書館を利用し続けるかという選択行動に、モデルを適用し、新設図書館の利用者数の予測に利用可能であることを見出した。しかし、新設館の周辺に居住していながらそれまでは図書館の利用者でなかった者が、利用者に転換することをどう組み込むかが課題として残された。また、住民調査は広い地域の住民全体を対象にしないと充分な分析が行えないが、調査実施の限界から一部住民に限定しているため、特定の年齢層(10歳代後半から20歳代)が抜けており、モデルの構築のみにとどまった点を反省点としている。 2.日本図書館協会が毎年3月末時点で全国の公共図書館を対象に実施しているアンケート調査のデータ集である『日本の図書館』から、施設の効率性に関わる指標の設定を試みた。館の規模等研究の目的から市立図書館だけに限定し、実績の因子として「年間貸出冊数」を置き、職員数、年間図書購入冊数、図書購入費、図書館経費を投入資源因子とした。この結果、年間貸出冊数は年間購入冊数と職員数とに強い相関関係をもつことが認められた。また、貸出コスト(二年間貸出冊数÷図書館経費)が、施設運営効率の指標として適当であろうことがわかった。図書館の運営効率ということはこれまでややないがしろにされてきた感があるが、今後は重要な評価項目となろう。
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