1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550449
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 康夫 京都大学, 工学部, 助教授 (60026284)
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Keywords | 中世 / 民家 / 押板 / 町家 / 市 / 屋形 |
Research Abstract |
近世初期民家にみいだされる中世的な特徴を把握することを中心に、近世民家成立過程の特質を検討した。 1.近世民家の成立過程の再検討 (1)民家形式の成立および分布と地域構造 特徴的な形式を備えた摂丹型民家の分布地域が、戦国期の京都を支配した管領細川氏の勢力地域圏ーー守護であった摂津・丹波両国ーーと一致することをすでに永井規男が指摘している。民家形式の成立およびその分布が、近世に先行する戦国時代、とくにその後半期の政治・社会的状況と密接に関連している事例のひとつとして、近畿地方の四間取型農家の成立にかかわって、河内の前座敷三間取型と畠山氏、和泉の食違い三間取型と細川氏などを現在推定している。 (2)細部形式 関東地方の古民家遺構によくみられる押板について、文献・絵画史料から様々な史料例を収集し、一方、萩の菊屋家住宅の押板、また京都の茶屋密庵の密庵床を調査し参考史料とした。押板は、中世においては公家・武家・寺社家のみならず、民家においてもしばしば使われていたこと、押板の諸形式やその発生、機能を探った。 (3)町家の形態 平安末期から町家商業が一般に行われていたというのが定説であるが、それに疑問を呈する事実をみいだした。「町」とは、市のことであって、他方の市と同様な「屋形」「仮屋」において商業が営まれている。町家の成立過程を考え直す必要がある。 2.近世初期民家遺構調査の実施
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Research Products
(1 results)