1988 Fiscal Year Annual Research Report
都市政策からみた江戸の町家の復原的研究ー絵画・町触・建設記録を史料にー
Project/Area Number |
62550452
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
波多野 純 日本工業大学, 工学部建築学科, 助教授 (40049721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒津 高行 日本工業大学, 工学部建築技術研究センター, 教育技術員
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Keywords | 江戸の町家 / 京都の町家 / 江戸図屏風 / 洛中洛外図 / 天田家文書 / 本石町一丁目町家 / 町家普請 / 町触 |
Research Abstract |
本研究は屏風絵・浮世絵などの絵画史料、町触・建設記録などの文献史料を併せ用い、江戸の町家を具体的に復原することを目的としている。すでに、明暦大火後に幕府が行なった江戸の町家の庇に関する規制と、その運用実態について、日本橋通一丁目を中心に明らかにした。また、江戸図屏風を基本史料として江戸の町家の庇の形成過程を検討した。江戸の町家が京・大坂の町家とは異なった形式であることは、江戸時代にすでに喜多川守貞が指摘しているが、近世初頭の屏風絵を見るかぎり江戸と京坂の町家の間に大きな形式の差はない。そこで、江戸と京都の町家を描く絵画史料を収集し、各々の描写内容の年代比定を行ない、町家の形態的特徴の類型化を進めている。 本年度は、昨年度に収集した歴博本・池田家本・南蛮文化館本の洛中洛外図の分析を行なった。また、屏風絵集などの刊行本に紹介される洛中洛外図も併せて分析を進めている。高津文化館本・池田家本・脇村家本などの景観年代を指標として、そこに描き出された各々の町家形態の抽出を行なった。今後も引き続き舟木本などの描写内容の分析を行なう。さらに、江戸と京都の町家の比較をし、近世初期の町家の変遷過程について検討する予定である。 江戸の町家の実態を具体的に知ることができる建設記録については、天田家文書がある。文書を整理分析した結果、享和・文化期の日本橋本石町一丁目の天田家の町家の形態が明かとなった。また、文化3年の町家建設に関与した職人・世話人・家守などの役割が判明し、当時の江戸における町家建設工事の請負形態の一端が明らかとなった。また、地域的な特徴を把握する観点から、江戸橋広小路・千住を例に町家の変遷と復原を行ない、江戸周辺の町家の形態を検討した。 一方、町触の分析と町家の建築図面の収集を継続して行なっている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 波多野純,黒津高行,豊島潔: 日本建築学会大会学術講演梗概集. 677-678 (1988)
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[Publications] 波多野純: 比較都市史研究. 7. (1988)
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[Publications] 波多野純: 足立区立郷土博物館紀要. (1988)