1987 Fiscal Year Annual Research Report
Cu-Pt合金における規則度ゆらぎの発生機構と規則化過程
Project/Area Number |
62550478
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
〓野 範之 九州大学, 総合理工学研究科, 助教授 (50038022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 晶 九州大学, 総合理工学研究科, 助手 (60150520)
沖 憲典 九州大学, 総合理工学研究科, 教授 (70037860)
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Keywords | 銅プラチナ合金 / 規則化過程 / フィールドイオン顕微鏡 / 電子顕微鏡 / 自由エネルギー / 規則度ゆらぎ / 規則ドメイン |
Research Abstract |
等原子比組成のCuPt合金については, これまでに行ってきたフィールドイオン顕微鏡による観察結果とX線回折実験の結果を基にして, 合金糸の自由エネルギーを求めることにより, 規則化過程を議論した. 自由エネルギーは, 規則化に伴なう変化分の他に規則領域と不規則領域との界面エネルギーと両領域の格子定数の差による歪エネルギーを考慮に入れて算出した. その結果, 初めから高い規則度を有する領域(ドメイン)が生成するよりは, 規則度は低い値のままドメインは互いに接するまで成長し, その後ドメインサイズと規則度を増大させた方がエネルギー的には有利であることが確かめられた. この結果はフィールドイオン顕微鏡観察やX線回折実験の結果ともよく一致した. 現在は, 等原子比からずれた組成の合金における規則化過程について実験及び解析を行っている. この合金の場合は, 合金内で組成が不均一になる場合がでてくるので, 自由エネルギーの式の中に, 組成のゆらぎの項を入れる必要がある. 組成の項に対する係数の導出方法を考慮しながら自由エネルギーの式の改良を行っている. 一方, 1:3組成の合金についても同様な実験と解析を試みている. この合金では, 高温から急冷した段階で既にある程度規則化した(短範囲規則)状態にある. 簡単な理論からは, この合金の規則-不規則転移は一次反応であることが予測されるが, 実際は短範囲規則状態を介して, ほとんど連続的に規則化が進行することを明らかにした. つまり, 規則度のゆらぎが徐々に大きくなり, 遂には高規則度の領域と不規則状態の素地とに分かれると解釈される. この場合においても, 高い規則度をもつドメインが多数生成すると, その界面エネルギーによってドメインの成長が抑制されることが, 自由エネルギー変化から説明された. 次年度は, 規則化に関する易動度を自由エネルギーの式に導入し, 規則化過程の速度論的解析を進展させる予定である.
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Research Products
(1 results)