1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550489
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森 克巳 九州大学, 工学部, 教授 (80037754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠崎 信也 九州大学, 工学部, 助手 (00136524)
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Keywords | 脱錫 / 溶銑 / トランプエレメント / SnS / 蒸発速度 / 脱銅 / 硫化物フラックス |
Research Abstract |
トランプエレメントと総称されるCu, Snなどは鉄に比べて酸素との親和力が小さいので, 通常の酸化精錬による溶鉄からの除去は困難である. しかしこれらの元素が比較的Sとの親和力が大きい点を考慮して硫化物系フラックスとの反応による除去などが考えられている. 本研究ではSnとSが共存する場合, 比較的蒸気圧の高いSnSの生成が考えられるので, (1)SnSとしての脱錫速度および(2)硫化物フラックスによる脱胴挙動を調べた 1.溶銑からの脱錫速度 本実験では高炭素溶鉄面上にアルゴンを吹付ける方法で溶鉄からのSnの除去速度に及ぼすアルゴン流量, 温度, 浴の撹拌の影響を調べた. その結果アルゴン流量が多いほど, 高温ほどSnの減少速度は増大した. さらに高周波炉と抵抗加熱炉を用い浴の撹拌の影響を調べた結果Snの減少速度は変らなかった. これらの結果より, 反応は気相中の成分の拡散過程が律速段階であると考えられる. 一方, 減圧下での蒸発実験において, 現有の装置の排気能力が不十分であるため質量分析計による蒸発成分の同定はできなかった. 前記実験で溶鉄中のSnとSの濃度は等モルの割合で減少しており, 蒸発物はSnSと考えられる. この点は再度質量分析計による測定で確認する計画である. 2.硫化物系フラックスによる脱胴 Na_2S系, Na_2O-SiO_2系, CaO-CaF_2系のフラックスによる溶銑からの脱胴挙動を調べた. これらのフラックスによる脱胴率は上記の順序で10分の1位づつ低下した. いずれのフラックスの場合にも溶銑中のS濃度が高く, 温度の低い程脱胴率は増大した. この結果Na_2S系フラックスが脱胴には最適であると考えられる.
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