Research Abstract |
1.研究目的.TiAl金属間化合物はクリープ特性および耐酸化特性が優れている低比重の耐熱材料であり, ジェットエンジン, ガスタービン等の用途に実用化が期待されている. しかし, この合金は700°C以下で脆性的であるという欠点を有し, この欠点の克服がとりも直さず実用化の道であると考えられる. 本研究は, 我々のこれまでの単結晶および多結晶体試料を用いての研究成果をふまえ, TiAlの延性を改善することを目的とする. 2.方法および成果:TiAlの化学量論組成の合金およびTiリッチおよびAlリッチ側で組成の異なる合計5種類の合金を基本組成として, Cr,Ht,Nb,W,Re,Be,Bi,Pd,Mo,Co,V,Mn,B,N,P等の第三元素を添加した合金を溶製し, 曲げ試験および各種組織観察を行なった. (1)Tiリッチの基本組成に, Cr, およびHtを添加した合金に延性改善効果が認められた. 光学および透過電子顕微鏡観察の結果, 第三元素の効果として, (a)結晶粒微細化, (b)双晶発生頻度の増大, (c)第2相粒子の析出等が認められ, 延性改善は主として, (a)と(b)の効果が大きいと推察された. 第三元素添加による強度増大は, 結晶粒微細化および固溶体強化のみでは説明できない程大きく, 化学的相互作用の寄与が大きいと推察された. 破壊は各種多様な因子が相互に関係して生じるため, 格子常数および軸比の第三元素による変化を直接延性改善に結びつけることは困難である. しかし, いくつかの元素で等方性化と延性改善との相関が認められた.
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