1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550514
|
Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
林 宏爾 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30011109)
|
Keywords | 超微粉 / 鉄 / ニッケル / コバルト / 銅 / 粒径 / 硬さ / 緻密化 / 微細粒合金 |
Research Abstract |
材料の諸性質は、その組成の選択ばかりでなく組織の制御によって改良され、組織制御のうち母相の微細化は機械的、磁気的、化学的性質の改良をもたらすことが多い。母相の微細化の方法としては歪-焼〓法、急冷凝固法、アモルファスの焼〓法などが良く知られている。これら以外の方法として、著者は金属超微粉の焼結により微細結晶粒の材料を得るための作製条件ならびに材料の性質を基礎的に調べて来ている。本研究では、鉄、コバルト、ニッケルおよび銅の超微粉(平均粒径、0.02〜0.05μm;酸素量、6〜15重量%)について、水素中、400MPaまでの圧縮応力下での完全緻密化温度と共に焼結体の結晶粒度と硬さを調べ、以下の諸結果を得た。(1)焼結体の酸素量は0.03〜0.25重量%となり十分に低い値となった。(2)400MPaFでの緻密化温度はそれぞれ620、670、470および470Kであり、これらの値はOMPaの場合の値に比べて350〜600K程低かった。そして、緻密化の機構は主として粒界拡散型の拡散クリープと考えられた。(3)緻密焼結体の平均結晶粒度はそれぞれ約0.08、0.21、0.12、0.40μmであり、原料粉に比べてかなり粗大化した。しかし、これらの値は他の方法で得られる値(1μm以上)に比べて著しく小さかった。(4)硬さはそれぞれ約600、550、550、130Hvの値が得られ、普通粒度金属の値(それぞれ80、170、85、51Hv)に比べ、最大520Hv程高かった。同一結晶粒度の下での硬さは、銅<鉄=ニッケル<コバルトの順となった。硬さと結晶粒度の平方根の逆数との間にはHall-Petchの直接関係が成立った、コバルトが特に高硬度となったのは、fcc→hcpマルテンサイト変態に基づくとみなせた。(5)この外、超微粉の焼結により低温における多元素平衡状態図を比較的容易に作りうると考えられた。
|
-
[Publications] 林宏爾、木原宏: 日本金属学会誌. 52. 343-347 (1988)
-
[Publications] K,Hayashi;H.Kihara: Sintering 87,Proceedings of IISS Symposium. 1. 255-260 (1988)
-
[Publications] 林宏爾、江藤浩之: 日本金属学会誌. 53. 221-226 (1989)