1987 Fiscal Year Annual Research Report
実用鋼の高温クリープき裂先端における局所変形とき裂伝播
Project/Area Number |
62550515
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
長谷川 正 東京農工大学, 工学部, 教授 (50005328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八高 隆雄 東京農工大学, 工学部, 助手 (40111637)
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Keywords | 高温クリープ / き裂伝播 / SUS316Hオーステナイト鋼 / 21 / 4Cr-1Moフエライト鋼 / 9Cr-1Moマルテンサイト鋼 / 耐熱鋼 / 転移組織 / 損傷過程 |
Research Abstract |
代表的な耐熱鋼であるSUS316Hオーステナイト鋼, 21/4Cr-1M_oフェライト鋼および9Cr-1M_oマルテンサイト鋼を用いて, 高温変形中におけるき裂伝播の挙動およびその微視的機構を, き裂先端領域での局所的な塑性変形過程および損傷形成過程と関連づけて調べ, 以下の知見を得た. 1.3種類の鋼におけるき裂のマクロ的伝播挙動は大きく異なる. すなわち, SUS316Hオーステナイト鋼ではき裂先端での開口変位が比較的小さく, き裂はき裂先端領域の粒界に形成される空洞を経由する形で応力軸に垂直に進展する. 他方, 21/4Cr-1M_oフェライト鋼のき裂開口変位は極めて大きく, したがって切欠底から発生するき裂の成長速度は極めて遅い. すなわち, この材料の最終的破断は試料の局部収縮によって支配される. この大きな延性はき裂先端近傍で再結晶が起ることに起因する. また, 9Cr-1Moマルテンサイト鋼では, 切欠底から応力軸と45°をなす方向にせん断帯が走り, その内部に形成される空洞を経由する形でせん断によってき裂が進行する. 2.透過電顕観察の結果, 3種の鋼のうちではもっとも脆性的にき裂が伝播するSUS316Hオーステナイト鋼においてさえ, き裂先端での応力集中度はたかだか外力の1.2〜1.3倍であり, 線形破壊力学を用いて推定した値よりはるかに小さい. 3.少なくともSUS316Hオーステナイト鋼においては, 応力多軸性の程度が高まるにつれてき裂の伝播速度は増加する.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tadashi HASEGAWA: Transactions of the Japan Institute of Metals.27. 960-967 (1986)
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[Publications] Takao YAKOU: Proceedings of the 3rd International Conference on Creep and Fracture of Engineering Materials and Structures. (The Institute of Metals). 521-532 (1987)
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[Publications] Tadashi HASEGAWA: Scripta Metallurgica (Pergamon Press). 21. 913-918 (1987)