1987 Fiscal Year Annual Research Report
電子・原子レベルから見たアルミニウム合金の材料特性
Project/Area Number |
62550519
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
森永 正彦 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (50126950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 純教 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (10144213)
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Keywords | アルミニウムの合金 / 電子構造 / クラスター法 |
Research Abstract |
アルミニウムは, 私達が最も慣れ親しんでいる金属の一つである. 本研究の目的は, アルミニウムをもう一度, 電子・原子のミクロなレベルから見直し, 高性能アルミニウム合金を開発するときの基礎資料を得ることにある. 本年度は, アルミニウム中の合金元素の個性を表す新しい合金パラメータを電子構造の計算により求めた. すなわちDV-X_αクラスター法を用いて, アルミニウム中の各種合金元素の電子状態の計算を行った. 合金元素としては, Li, Mg, Cu, Znなどの既存の実用アルミニウム合金の主要合金元素の他新たに有効な合金元素を探索する目的で, 3d, 4d, 5d遷移金属を周期表から選び出し系統的な計算を行った. 決定した合金パラメータとしては次の4つがある. 1.結合次数 (アルミニウムと合金元素との間の共有結合の大きさを示すパラメータ) 2.イオン性 (アルミニウムと合金元素との間のイオン結合の大きさを示すパラメータ) 3.sおよびd電子のエネルギーレベル (原子の大きさや電気陰性度と関係のあるパラメータ) 4.フェルミ準位における電子の状態密度 (電気抵抗や比熱など物性と関係のあるパラメータ) このように本年度は, 計画通り, 電子構造の計算をほぼ完了させた. 来年度は, これら新しい合金パラメータを用いて, アルミニウム合金の既存のデータを整理し, その材料特性をミクロな立場から理解するための仕事に着手する. そしてその理解を通し, 将来のアルミニウム合金の開発のための基礎資料を得たいと考えている.
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