1988 Fiscal Year Annual Research Report
モル吸光係数10^5のセンシング機能を有するヒドラゾン系試薬の開発と発色機構の解明
Project/Area Number |
62550540
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小田嶋 次勝 東北大学, 非水溶液科学研究所, 助教授 (20005375)
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Keywords | 高感度呈色試薬 / ニッケル(II)錯体 / ヒドラゾン化合物 / キノン型構造 / ニッケルの抽出吸光光度定量 |
Research Abstract |
2-ピリジンカルバルデヒド=2-(ニトロ置換)ピリジルヒドラゾン類の合成に成功したので、これらヒドラゾンの化学的性質及びその錯体の反応機構の解明を中心に研究を進め、次のような結果を得た。 1 2-ピリジンカルバルデヒド=2-ピリジルヒドラゾン(PAPH)のアルデヒド側のピリジン環を固定し、ヒドラジン側のピリジン環の3-及び3,5-位にニトロ基を導入したヒドラゾン、それぞれ3-PANPHおよび3,5-PANPHを合成した。これらのヒドラゾン及び既に合成した5-PANPHの都合3種類について化学的性質を調べた。これらの有機溶媒に対する溶解度は5-PANPH<3,5-PANPH<3-PANPHの順序で大きかった。40%(V/V)ジオキサン-水系中で、イオン強度0.2、温度25℃で吸光光度法によって酸解離定数を求めたところ、その値は3-PANPH<3,5-PANPH<5-PANPHの順序で大きかった。これらのヒドラゾンは多くの金属イオンと錯形成し、その錯体はベンゼンに抽出された。錯体の抽出性は3-PANPH<3,5-PANPH<5-PANPHの順序で良好であった。特に、5-PNAPH及び3,5-PANPHはカドミウム(II)、銅(II)、ニッケル(II)及び亜鉛(II)とモル吸光係数10^5台の大きな錯体を形成することがわかったので、これら金属錯体の吸収特性並びに発色機構の解明について検討した。 2 3,5-PANPHを用いる微量ニッケル定量のための諸条件を検討し、その定量法を開発した。ニッケル(II)錯体はpH4〜6の間でベンゼンに抽出され、484mmに吸収極大を示した。検量線は0〜5μgの間で原点を通る良好な直線となり、吸光度0.001に対する感度は0.53ngcm^<-2>モル吸光係数は1.0×10^5lmol^<-1>cm^<-1>であった。錯体の組成は1:2であった。3 ヒドラゾン錯体のモル吸光係数が10^5台を示したのは、ヒドラジン側のピリジン環の5-位に導入したニトロ基の誘起効果によって、共役系の長い、かつキノン型構造を形成したためであると考察した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tsugikatsu,ODASHIMA: Analytical Science. 5. (1989)
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[Publications] Tsugikatsu,ODASHIMA: Analytical Science. 5. (1989)