1988 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光特異性を有する有機試薬の開発とその速度論的分析法への応用
Project/Area Number |
62550544
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
村田 旭 静岡大学, 工学部, 教授 (50021960)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 真吉 静岡大学, 工学部, 助教授 (60022737)
伊東 琢史 静岡大学, 工業短期大学部, 教授 (20022022)
|
Keywords | 蛍光性有機試薬 / 蛍光光度定量 / 反応速度の差を用いる分析 |
Research Abstract |
各種の置換基を含むクマリン、クロモンおよびフラボン誘導体について、これらの蛍光性有機試薬が関与する反応のうちで主として錯形成反応と酸化還元反応について検討し、これらの反応を用いる選択性の高い微量金属イオンの分析法を開発するための研究を行い、以下の結果を得た。 1.9種類のクマリン誘導体の弱酸性での過ヨウ素酸塩による消蛍光を伴う酸化反応を検討し、この反応にはクマリンのベンゼン環に互いにオルト位に2つの水酸基を有することが不可欠であり、この反応は微量の金属イオンにより接触作用を受けることを見出した。4-メチル-6,7-ジヒドロキシ誘導体について、主反応および接触反応を速度論的に解析し、得られた速度式および速度定数から反応機構を明らかにし、接触効果の最も大きい銅イオンについて定量条件を検討し、検出限界2ppbで60ppbまでの微量銅イオンの接触分析法を開発した。銅イオンと等モル共存しても妨害する2,3の金属イオンはシュウ酸塩でマスキングできることも見出した。 2.クロモンおよびフラボン誘導体とアンチモン(III)および(V)との錯形成平衡を蛍光光度法と吸光光度法で検討し、3.ク-ジヒドロキシフラボンとケルセチンとを発色試薬として用いることにより、総量40μgのアンチモンについてアンチモン(III)およびアンチモン(V)を何れも±1μg程度の誤差で同時定量できる条件を見出した。 上記の実験研究と並行して、金属錯体が関与する反応を機構論的に考察し、金属イオンおよび配位子の化学的性質との関連で、これらの反応の熱力学(錯形成反応の平衡定数)と反応性(錯形成反応および配位子置換反応の速度定数)とを定量的に理解し、反応速度の差を用いる分析法の創案、設計に応用できるいくつかの新しい知見を得た。
|
Research Products
(1 results)