1988 Fiscal Year Annual Research Report
ストリッピング・ボルタンメトリーのための化学修飾電極の研究
Project/Area Number |
62550545
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三輪 智夫 名古屋大学, 工学部, 助手 (60023131)
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Keywords | ストリッピング / ボルタンメトリー / 化学修飾電極 / グラシーカーボン電極のプラズマ処理 / ナフィオン被覆グラシーカーボン繊維電極 / フロー電解セル / 銅の化学状態分析 / 陸水 |
Research Abstract |
(1)アノーデック・ストリッピング・ボルタンメトリー(ASV)用のグラシーカーボン電極(GCE、GC-20、5φ×20mm)の空気酸化処理では多数の表面官能基を再現性よく導入することはむつかしく長時間を要した。酸素プラズマ処理によればその可能性がある。鏡面仕上げしたGCEをプラズマ放電管内のキャビティー下流端に入れ、酸素流速200mL/min、真空度3Torr、マイクロ波出力80Wで3分間処理した。その結果約10倍の感度向上ができ、再現性も改善された。さらにこのGCE上の-COOHを還元後、3-アミノプロピルエトキシシランを反応させて Si(CH_2)_3NH_2を導入し、最後にシュウ酸との脱水縮合により Si(CH_2)_3NHCOCOOHを作り、ASVを行った。 (2)グラシーカーボン(BC-20)繊維電極(NCMFGCFE、10μmφ×1mm)をナフィオン(パーフルオロスルボン酸ポリマー、陽イオン交換膜)の2.2mg/mLジメチルスルホキシド溶液に浸して表面に薄膜をコーティングし、さらに感度を上げるため水銀メッキをした作用電極と銀管(内径1mm、Ag/AgCL参照電極)をアクリル樹脂ハウジングで組み立てたフロー電解セルを試作した。このナフィオン修飾電極上では負電荷化学種は電極表面から静電的に排除されて電極上に到達できず、これら妨害化学種が共存したまま水和イオンと弱い結合の錯体をASV測定できることがわかった。陸水を1mmフィルターに通して懸渦粒子を排除しただけでフミン酸及び銅-フミン酸錯体共存下で銅水和イオンと岩酸銅を0.01M硝酸カリウム-0.001M塩化カリウム電解液(PH7)中で直接ASV定量できる新しい化学状態分析法を確立した。また巨大網目構造の弱塩基性陰イオン交換体のDEAEセファデックスA-25で試料水中の銅-フミン酸錯体とクミン酸を除去したのち、PH590.01M硝酸カリウム電解溶液中で吊り下げ水銀滴電極を用いたASVを行った。両者よく一致した結果を与え、ナフィオン膜修飾電極を用いた新しい方法は信頼できる方法である。
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