1988 Fiscal Year Annual Research Report
硫黄含有化合物を担体配位子とする白金錯体の合成と制がん機構
Project/Area Number |
62550555
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
飯田 武揚 埼玉大学, 工学部, 教授 (30013171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西垣 功一 埼玉大学, 工学部, 助教授 (10107378)
宮下 晃 埼玉大学, 工学部, 助教授 (90132729)
三田村 孝 埼玉大学, 工学部, 教授 (50008827)
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Keywords | 白金錯体 / 制がん作用 / 硫黄含有配位子 / 担体配位子 |
Research Abstract |
白金族錯体の中でもシス-ジクロロジアミン錯体は制がん作用があり、がんの化学療法上制がん剤として実用化されている。しかし、多くの副作用が報告されており、この研究では62年度に引継いて、硫黄含有化合物を担体配位子として、制がん活性が高く、副作用の少なくない新規の白金族錯体を合成し、その制がん作用について研究を行なった。 当該年度に得られた研究実績をまとめる。 (1)今年度は制がん剤が細胞膜を通過するときに、親油性の配位子を用いる方が浸透性が向上すると考えられるので、ユ-アミノメチルチオフエンを硫黄含有担体配位子として、白金錯体を新規に合成し、大腸菌のDNAと相互作用させ、それを電気泳動法にて評価する研究を行った。 (2)錯体の合成は塩化白金酸カリウム水溶液中にユ-アミノメチルチオフエンを加えると、白黄色の沈澱が生じた。配位子が白金に配位する際に水素イオンを放出するので、溶液は酸性となるので、水酸化カリウムの溶液でPHを9.5に保つように条件を設定した。 (3)得られた新規の白金錯体は水にわずかに溶けるが、テトラヒドフランなどの有機溶媒にもかなり溶けるので、初期の目的の親油性の向上が達成された。 (4)この錯体の元素分析、熱重量分析、赤外吸収スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、高速液体クロマトなどの実験より、この錯体が[Pt^<II>Cl(OH)(amet)](amet=2-アミノメチルチオフエン)、の構造式で表される錯体であることがわかった。 (5)この新規の錯体が大腸菌のDNAと相互作用することが電気泳動の実験から明らかになり、制がん活性の指標である細胞障害性の評価を現在明治製菓に依頼している段階であるが、活性の向上が期待されているところである。
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Research Products
(2 results)