1988 Fiscal Year Annual Research Report
多価イオン導電性個体の合成とその電気化学的応用に関する研究
Project/Area Number |
62550566
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
江坂 孝男 鳥取大学, 工学部, 助教授 (70116317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 裕之 鳥取大学, 工学部, 助手 (20127434)
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Keywords | 多価イオン導電体 / カルシウムイオン / 硫酸カルシウム |
Research Abstract |
本研究では、新しい二価イオン導電体を検索する目的で、歪んだ岩塩型の結晶構造を持つCaSO_4を母体とし、これに各種の酸素酸塩を添加した焼結体を調整し、その焼結体にカルシウムイオン導電性がみられるか否かを検討した。母体物質のCaSO_4にCa_3(PO_4)_2,Al_2(SO_4)_3などを所定の組成比で混合した後焼成すると、添加物の種類によって若干異なるが一般的に5〜10mol%の添加量までは母体と同じ結晶構造の個溶体が得られることが分かった。これらの試料に白金電極を取り付け、インピーダンスメーターにより導電率を測定した。その結果、CaSO_4は1000℃でも2×10^<-5>Scm^<-1>程度の低い導電率しか示さないが、添加物を入れると導電率は増大し、更に添加量を多くすると逆に減少することが分かった。Ca_<1 5>PO_4を添加した系では、5mol%が最も高い導電率を示したが、その値は使用する原料によってかなりの違いを示した。またAl_<2/3>SO_4を添加した場合も、Ca_<1 5>PO_4と同様な導電率の変化がみられたが、その値は、Ca_<1 5>PO_4の場合より低くなった。これらの導電体中の導電種としては、カルシウムイオン、酸化物イオン及び電子が考えられる。Ca_<1 5>PO_4を含む試料焼結体について、まず試料の電解質とした酸素ガス濃淡電池を構成しその起電力を測定したところ、起電力は理論値より大きな値を示ししかも一定量を示さず不安定であった。これは導電種が電子でも酸化物イオンでもないことを示すものであった。次にこの試料に分解電圧以上の電圧を印加して、長時間電解を行ったところ、カソード側では白い個体の析出が、またアノード側では試料の陥没しているのが認められた。X線回析により、カソードの析出物は酸化カルシウムであることが分かった。このような変化は、試料中の導電が主としてカルシウムイオンによって行われることを意味しており、CaSO_4を母体とした焼結体は確かにカルシウムイオン導電 性を示すことが明らかとなった。
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[Publications] T.Esaka.: J.Solid State Chem.,. 71. 164-171 (1987)
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[Publications] T.Esaka.: Solid State Ionics. (1989)
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[Publications] W.J.Zheng.: Solid State Ionics. (1989)