1987 Fiscal Year Annual Research Report
メタンの部分酸化によるエチレン, メタノール及びホルムアルデヒドの合成
Project/Area Number |
62550581
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大塚 潔 東京工業大学, 工学部, 助教授 (60016532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 隆之 東京工業大学, 工学部, 助手 (40186797)
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Keywords | メタン / 部分酸化反応 / エチレン / メタノール / ホルムアルデヒド / 酸化カップリング / 酸化サマリウム / 酸化ニッケル |
Research Abstract |
本研究の目的は, 天然ガスの化学的有効利用を目指し, 申請者らが開発した触媒を用いて, 天然ガスの主成分であるメタンから, エタンとエチレン, メタノールおよびホルムアルビテドを高選択的に合成し, 反応の最適条件, 触媒作用機構および反応機構について明らかにすることにある. 62年度はメタンの酸化カップリング反応によるエタンとエチレンの合成について検討し, 以下の実績を得た. 1.メタンの酸化カップリング反応に有効な触媒である酸化サマリウムを用いて, 反応の最適条件を検討したところ, C_2炭化水素の選択率は反応温度が600°C以上の高温になると急激に上昇し, 750°C付近が最適温度であることが判った. メタンと酸素の比は6付近が最適であることを確かめた. 反応ガスの流速を大きくするとC_2炭化水素の空時収量は焼く3mol/g・hに達し, これは今まで報告された中で最も活性の高い触媒であることを示す. 触媒の失活について調べた結果, 180時間の使用でも反応成績は全く変化せず実用触媒として極めて有望な触媒であることが判った. 2.反応の速度論的研究から, 反応は酸化サマリウムに吸着した分子状吸着酸素がメタンの水素を引き抜くことで開始し, 表面に吸着したメチル基のカップリンクあるいは気相に放出されたメチルラジカルのカップリングでC_2化合物が生成する反応機構を提案した. 3.ESR法, ラマンおよび赤外吸収スペクトル法を用いた研究から, 酸化サマリウム上でのメタんの活性化には, パーオキサイド型酸素(O_2^<2->)が重要な働きをしていることを示唆した. 4.LiClを点火したNiO触媒は, エタンよりもエチレンを高収率で合成する特異な触媒であることが判った. 反応の速度論的検討を行なったところ, この触媒はメタンからエタンを経由してエチレンを速やかに生成させるが, 生成したエチレンを酸化しない. これが高選択的にエチレンを生成する理由であることが判った.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kiyoshi Otsuka: Chemistry Letters. 1987. 483-484 (1987)
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[Publications] Kiyoshi Otsuka: Journal Chemical Society, Faraday Trans. 1. 83. 1315-1321 (1987)
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[Publications] Kiyoshi Otsuka: Journal Chemical Society, Chemical Communications. 388-389 (1987)
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[Publications] Kiyoshi Otsuka: Inorganica Chimica Acta. 132. 123-128 (1987)
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[Publications] Kiyoshi Otsuka: CHEMISTRY letters. 1987. 1835-1838 (1987)
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[Publications] Kiyoshi Otsuka: 石油学会誌. 30. 385-396 (1987)