1987 Fiscal Year Annual Research Report
新導電材料としてのフッ素およびフッ化物系グラファイト層間化合物
Project/Area Number |
62550586
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 剛 京都大学, 工学部, 助教授 (50026233)
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Keywords | グラファイト層間化合物 / グラファイト / フッ化チタン / フッ化バナジウム / 電気伝導度 / ESCAスペクトル / フッ素 |
Research Abstract |
1.天然グラファイト, 高配向性パイログラファイトを用いて, フッ化チタン, フッ化バナジウムのグラファイト層間化合物(CxTiFy, CxVFy)を合成し, その構造, 化学結合, 電気伝導度および安定性を調べた. フッ素雰囲気下ではフッ化チタンの第2ステージ化合物が容易に合成される. 層間化合物はCxTiF_5に近い組成を有し, そのF_<1s>ESCAスペクトルは2つのイオン結合性ピークを示す. また粉末X線回析からグラファイト層間に挿入されたTiF^<2->_6イオンはチタンがフッ素を共有した鎖状構造をとることが明らかとなった. 高配向性パイログラファイトをホストとする化合物の最大電導度は2.4×10^5Scm^<-1>で元のグラファイトの13倍であった. CxTiFyは極めて安定で空気中においてもその電導度, X線回析図は長期間ほとんど変化しなかった. これは挿入されたTiF^<2->_6が鎖状構造を有し, グラファイト層間を拡散しにくいためと考えられる. 2.CxVFyでは第1-8ステージ化合物が合成された. 挿入化学種はVF^-_6であり, CxTiFyのような架橋構造はとらないことが元素分析, ESCAスペクトルより示された. しかし第2ステージ以上の化合物ではグラファイト層間におけるVF^-_6の面内密度が減少するにつれて組成はC_<8n>VF_6よりC_<14n>VF_6(n:ステージ数)へ変化し, 層間におけるVF^-_6の厚みが幾何学的モデルより0.4〜0.6〓減少した. これはVF^-_6のFのベンゼン環へのはまり込み(ネスリング)に帰せられ, この化合物の高い安定性の原因と考えられる. 面内方向の最大電導度は2.0×10^5Scm^<-1>で元のグラファイトの12倍であった. 空気中における電導度の低下は8ケ月間で3-13%であり, CxVF_6が高い安定性を示すことが示された.
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[Publications] 中島剛: Carbon. 25. 685-689 (1987)
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[Publications] 中島剛: Chemistry Letters. 1255-1258 (1987)
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[Publications] 中島剛: Chemistry Letters. 1993-1996 (1987)
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[Publications] 中島剛: Carbon. 26. (1988)
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[Publications] 中島剛: Carbon. 26. (1988)
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[Publications] 渡辺信淳: "Graphite Fluorides" エルセヴィア出版社(オランダ アムステルダム), 264 (1988)